歯科領域の未来の当たり前を実装 テクノロジー活用で目指す未来とは?SheepMedical取締役兼CGS桐山氏、CTO豊島氏インタビュー

ミダスキャピタル投資先のSheepMedical(シープメディカル)は、未病領域の課題解決を通じて、人々の健康寿命を延ばし、暮らしを豊かにすることを目指しています。国内で高いシェアを誇る歯科矯正における透明マウスピースの製造・販売を武器に、さらなる成長を狙っています。そのために主に進めているのは、海外10か国以上での事業展開とテクノロジーを活用した歯科クリニック支援です。SheepMedicalの桐山卓也取締役兼海外事業本部最高責任者(CGS)と豊島正規最高技術責任者(CTO)に、海外展開の戦略とテクノロジー活用で目指す姿を聞きました。(敬称略)

 

「この事業なら必ず勝てる!」という確信

 

――桐山さんは海外展開の責任者をされていますよね。これまでのキャリアと参画の経緯を教えてください。

 

桐山:東京大学を卒業後、大和証券グループでM&Aのアドバイザリー業務に従事したあと、コンサルティングファームのベイン・アンド・カンパニーで6年ほど働き、知人の紹介で2020年秋にSheepMedical(当時デンタルアシスト)に入社しました。

大企業に10年以上務める中で、徐々にこのまま勤め続けてよいのだろうかと考えるようになりました。大企業では役割が細分化されていて、自分の影響範囲は限定的です。もっと大きな意思決定や組織作りに関与できる会社で働いてみたいという気持ちが芽生え始めた時に、以前の同僚から声をかけてもらったのです。SheepMedicalはグローバル企業として海外展開を控えた成長フェーズにあります。また創業者の松本は医師であり、また連続起業家としてSheepMedical創業以前にも他の事業での起業も経験しているという、自分にはまったくない経歴の持ち主です。他にも、多様なバックグラウンドの人材がたくさんいます。ここなら自分のキャリアの可能性を拡げられると参画を決めました。

 

――参画の決め手はなんだったのでしょうか?

桐山:決め手の一つは、事業の成長性です。私たちの事業の柱である、透明マウスピースの分野はグローバル市場で2,500億円、アジアの年成長率25%〜30%と試算されています。そんな成長産業の中で、SheepMedicalは日本国内で非常に高いマーケットシェアを有しています。加えて、収益性も高い。成長性があってマーケットシェアが高く、収益性も高い。僕の過去の経験上、この3要素がそろっていると絶対に勝てると確信し、未来が明るい会社だと思いました。

もう一つは、仕事内容の魅力です。海外展開について「日本の外はすべて任せるから、自由にやっていいよ」と言っていただいたのです。成長できそうな会社、グローバル企業を目指す会社の海外展開を自由にやっていいだなんて、ワクワクする気持ちしかありませんでした。

 

海外展開で日本の完全コピーは通用しないからこそ面白い

 

――海外展開においては、まずは日本で高いシェアを誇る透明マウスピースから勝負していくと聞いていますが、日本と海外の事情は違いますか?

桐山:全く違いますね。仮に売るものが同じだとしても、日本の完全コピーではうまくいきません。歯科矯正については、それぞれの国において、価格も価値観も異なります。

例えば、日本ではワイヤー矯正は約100万円程するのに対してクリアアライナーは数十万円程度と価格的な優位性もあります。一方、インドネシアの場合、ワイヤー矯正でも10〜20万円程度。これでは価格面を強みにすることはできません。また、インドネシアではワイヤー矯正がお金持ちのステータスになっているので、むしろデザイン性の高いワイヤーが販売されています。日本の「ワイヤーが目立つことがネック」という価値観とは、まったく異なるのです。広告においても、消費者が好む色が日本と異なるので、現地の好みの色遣いにしています。このように、市場環境や価値観が全く違う中で、どのように戦っていくのかを考えるのは、純粋に面白いですよね。

 

優秀な現地責任者を採用するために魅力的な仕事を用意

 

――面白いと同時に難易度も高そうですね?

桐山:おっしゃる通り、難易度は高いと思います。日本でどんなに優秀でも、各国の文化や好みを知らないとうまくいかない。だからこそ、各国の現地で優秀な方を採用することがとても重要で、採用にはかなりの時間を費やしています。

一つの国で、現地責任者のポジションで募集すると、だいたい500人ほどから応募があります。それらすべての書類に目を通し、そのうち20~30人と面接をさせていただき、「この人になら現地をお任せできる」と思ったら、真剣に口説く。それを全ての国でやってきているわけですから、けっこう大変です(苦笑)。それでも、「いいチームを作らないと成功はない」という思いで、応募してくださった方と向き合わせていただいています。

 

――採用した後、コロナ禍で現地に行くことができず、管理は大変ではありませんか?

桐山:かなり優秀な方が採用できているので、大変ではありません。コミュニケーションの壁はありませんし、かなり権限移譲もしています。最低限、「各国で共通したブランド及び基本コンセプトを使う」とか、「今年の予算はこれだけで、売上はこのくらいを目指してほしい」ということを伝えたら、あとはその範囲の中で、好きにやっていただくというイメージです。

 

――現地責任者の方もそこまで任せてもらえたら、面白いでしょうね?

桐山:それくらい魅力がある仕事でないと、優秀な方には来てもらえせんからね。私の役割は、現地責任者の人たちの障害を取り除くこと。さきほど、「日本の完全コピーではダメだ」とお話ししましたが、それでも日本で得たノウハウは当然移植する場面はあります。そうした壁を取り除き、彼らが仕事をしやすい環境作りをすることが大切です。そして、まずはアジアからスタートしていますが、ゆくゆくは世界地図を塗りつぶしていきたいです。

 

創業間もない中で急拡大するダイナミックさが魅力

 

――続いて、豊島さんに質問ですが、これまでのキャリアとSheepMedicalに入社を決めた理由を教えてください。

豊島:私は京セラの情報子会社で、パッケージソフトの開発やWEB広告配信事業の立ち上げを経験したあと、Fringe81株式会社でスマートフォン向けのアドネットワークの開発やシステムアーキテクトとして開発に携わってきました。SheepMedical(当時デンタルアシスト)に入社したのは2021年4月です。

入社の理由の一つは、事業領域を広げるうえで、着実にスピード感を持って拡大しているダイナミックさを感じたからです。それを「ITの力でさらに加速させていきたい」というところが、面白そうだなと思いましたね。もう一つは、会社の理念に共感したこと。幼いころから歯並びにコンプレックスがあった私は、大人になって矯正をしました。私の時もそうでしたが、大人の矯正には約100万円かかるのが常識です。そんな中、アライナーによる歯列矯正はより手ごろに多くの人が矯正治療を行える可能性を切り開くものであり、またSheepMedicalが掲げる「100年楽しく生きる 新しい日常の提案者」というビジョンにも強く共感しました。

 

未来の当たり前を実装して、業界を驚かせる存在に

 

――具体的にはどんなことから着手されていますか?

豊島:医療や製造、患者さんのサポートなど、まだまだIT活用が進んでいない分野がたくさんあります。IT活用での効率化を、全般的に目指すところから始めています。

驚かれるかもしれませんが、全国の歯科クリニックの数はコンビニの数よりも多いんです。個人クリニックが多いので、歯科矯正だけでなく通常の治療オペレーションを回すだけでも必死で、「さらなる患者さんの獲得に手が回らない」、「治療の品質を向上させたいけれど、自分たちだけではなかなか難しい」とおっしゃるクリニックさんが多いのが実情です。私たちは全国の歯科クリニックさんとつながりがあるので、評判のいい治療をデータ化して、治療品質のばらつきをなくすことも可能になると考えています。

一方で、難しい面もあります。例えば、売上向上のために、私たちITの人間はすぐに「レコメンド機能はどうか」と考えがちですが、歯科クリニックのような地域密着型ビジネスの場合、必ずしもそれがいいとは限りません。そういったことも含めて、「いかによりよいユーザー体験を追究していけるか」。ITだけで完結するものとは違う難しさがあり、それが面白さでもありますね。

 

――今後、会社として事業領域を医療に広げていかれるとはいえ、個人クリニックが多い歯科領域だけでも、可能性は大きそうですね。

豊島:ITのレバレッジは効きやすいと思います。ちょっとした改善ではなく、ドラスティックに変えられる可能性がある。未来の当たり前を実装していくということをやっていきたいです。

桐山:今の歯科矯正のプロセスは、患者さんが歯科クリニックに足を運び、診察を受けた後、SheepMedicalに患者さんの情報をいただき、歯科技工士がマウスピースをデザインしてつくるという流れです。将来的には、患者さんの歯の状態を、患者さん自らがスマートフォンでスキャンして、その情報が自動的に僕らのところに飛んできて、デザインも自動で作られる。業界がそうなることは間違いないと思うんです。それを、僕らSheepMedicalが世界で一番先に実現できるといいなと思っています。

豊島:スマホでスキャンする部分においては、口の中を0コンマ何ミリという単位の高精度の画像をスマホで撮影できるようになること、しかもそれを誰もが手にできるほどスマホが低価格になることも必要です。それにはもう少し時間がかかるかもしれません。でも、それ以降のプロセスについては私たちの努力で実現していけるので、やっていきたい。未病の領域に広げていくものの、やはり創業の原点は歯科領域なので、その領域では圧倒的なナンバーワンでいたい。業界を驚かせる会社でありたいですね。

New Articles

最新記事
Midas Talent
Ranking

Ranking

記事ランキング

Recruiting

ミダスキャピタル、及びミダスキャピタル出資先企業群にて、世界に冠たる企業群を創りあげるというビジョン実現のために、傑出した実績や才能を持つ人材を積極的に募集しています。

To Entrepreneur

ミダスキャピタルでは一般的な株式の買取だけではなく、株式を現物出資することによって企業オーナー様がオーナーシップを保有したまま、ミダス企業群を形成する一社として長期に渡り企業価値最大化のお手伝いをさせて頂くことが可能です。