エンジニアとして、社会のためにできることを LATRICO脇阪博成CTOインタビュー

オンライン診療プラットフォームの開発・運用やマーケティング事業を手掛けるLATRICO。「テクノロジーとアイデアで、医療に変革をもたらしたい」という思いのもと、2020年の創業以来、順調な歩みを見せています。2022年9月、そのLATRICOに新たに加わったのが、脇阪博成CTOです。大手企業で花形エンジニアとして活躍してきた同氏がキャリアを転換しようと考えたきっかけや、LATRICOの魅力について聞きました。

◆プロフィール

株式会社LATRICO CTO
脇阪 博成(わきざか・ひろなり)氏

2008年ヤフー株式会社にエンジニアとして入社。その後ベンチャー、ディー・エヌ・エー、ZOZOなどを経て現職。ディー・エヌ・エーでは大手ゲーム会社との協業、エンジニアリングマネージャーとして汎用ゲームサーバやフレームワークの開発、組織マネジメントをリード。ZOZOではシステムのリプレイス、新規事業の立ち上げを経て、本部長に就任。プロダクトや組織のマネジメントに従事。2022年9月にLATRICOに入社。CTOに就任。

 

学生時代からエンジニアとして大活躍。自信を打ち砕かれた「ある出来事」

――脇阪さんは学生時代からベンチャー企業でプログラミングに関わっていたと伺っています。これまでどんなキャリアを歩まれてきたのでしょうか。

静岡大学情報学部で、コンピューターサイエンスを学びました。大学3年次にゼミの先輩と准教授が立ち上げた大学ベンチャーに参画。ここで本格的にプログラミングを始めて、大学のSNSやニュースサイトの制作に携わりました。新卒でエンジニアとしてヤフー株式会社に入社しましたが、大企業ゆえに業務が完全に分業化されていることをもどかしく感じることもありました。そこで100人程度の規模のベンチャーに転職したところ、サービスの企画から開発、新規プロジェクト立ち上げなど、幅広い業務に関わることができました。

そこでの経験を買われ、株式会社ディー・エヌ・エーに転職。同社には7年近く在籍し、ゲームのサーバーサイトの開発を中心に、プロジェクトのリーダーや組織のマネージャーも経験しました。

順調にキャリアを積む一方で、自信を打ち砕かれるような出来事もありました。私は学生時代からプログラミングのキャリアをスタートしていたこともあり、同期と比べて自分はできるタイプだと思っていたふしがありました。社会人になった2008年当時は、今ほどカジュアルにプログラミングをするような時代ではなかった上、私のようにウェブサービスの立ち上げを経験した人もほとんどいなかったので。

 

――ご自身より優秀なエンジニアにたくさん出会ったということでしょうか。

それももちろんありましたが、何よりも自分自身の「見通しの甘さ」に気づきました。入社して1年ほど経ったころ、あるゲームの開発プロジェクトのリーダーに抜擢されました。当時ディー・エヌ・エーはPerl(パール)というプログラミング言語を使った開発が中心でしたが、Perlは少し下火になりつつあること、私がPerlよりもRuby(ルビー)での開発に慣れていて、運用経験もあったので、軽い気持ちでRubyを採用することに決めました。

ただ、今思えば小規模なチームでの小規模なWebサービスでの経験。多くの人が関わり、大規模なトラフィックをさばくゲームサーバとはまったくの別物でした。DeNAの水準でサーバを運用するとなると様々な工夫をしなければならず、想像していたよりも多くの開発が必要でした。加えてゲーム開発自体の難しさも相まって開発が遅延。軽い気持ちでRubyを選択したがゆえに多くの人に迷惑をかけてしまいました。当時の選択自体が間違いだったとは思っていませんが、もっと先まで見通し計画して行動していれば……と思っています。

技術的な問題に加えて、年上も含めた5〜6人のメンバーを束ねるのにも苦心しました。私自身はこのやり方がいいと思っていても、経験豊富でレベルが高いメンバーに対して主張することができなかったのです。メンバーそれぞれに好きなようにやってもらったら、結果的にコードのクオリティにかなりのばらつきが出てしまいました。

リーダーという立場にある以上、きちんと方針を立てないと結局メンバーを困らせることになる。相手の意見を聞いた上で、決めるべきことは決めないといけないし、年齢だけで遠慮すべきではないということを学びました。

 

「自分の守備範囲を超えて能動的に動く」ことが必要だと気づいた

―その後、ZOZOを経てLATRICOへ転職されています。大企業からまたスタートアップに移ろうと考えたきっかけを教えてください。

ゲーム開発は難易度が高く、やりがいはあるものの、リリースするまでにどうしても1〜2年かかります。もっと早く世に出せるようなウェブサービスに関わりたいと思い、ZOZOに転職しました。ここでは長く運用しているシステムのリプレイスと新規プロジェクトの立ち上げ、さらに組織のマネジメントも担当しました。

エンジニアとしては充実した日々を送っていましたが、だんだんとビジネス的な側面への興味が強くなっている自分にも気づきました。エンジニアとして、開発と並行して数字の分析や施策の検討をやっていけば、もっとプロダクトを伸ばせるのではないか。そう考えていた矢先に出会ったのがLATRICOでした。

現在とは異なり、当時LATRICOには社内にエンジニアがひとりもいない状況。ビジネスサイドだけでプロダクトを大きくしようと一生懸命に検証と分析を重ねている姿を見て、心打たれました。ここに技術の力を掛け合わせればもっと効率化できるはず。それに、こんなにもプロダクトに本気で取り組んでいる人たちと一緒に働ければ、自分の経営者観点をもっと成長させることができるのではないかと感じました。

 

――その「本気度」はどのようなところに表れていましたか?

LATRICOでは、社員が持ち回りで毎日の数字をレポートしています。それをただ眺めるだけではなく、「この数字がこれだけ伸びた理由はこの施策のおかげ」「この数字が下がり続けているので、新りしい打ち手をすぐ打たないといけない」とスピード感を持って分析し、ドクターとのコミュニケーションや顧客へのアプローチ、効率化など、考え得る対策もその日のうちに行います。これは当たり前のようで、なかなかできないこと。デイリーで見ることによって、明らかに数字が変化しているのが分かります。

また、「自分の守備範囲を超えて能動的に動こう」という会社のバリューにも非常に共感を覚えました。大企業は営業や開発など、自分の役割が明確なのが一般的。それはもちろん悪いことではありませんが、規模が小さい企業はその考えでは回りません。特にベンチャーにおいては、エンジニアもなぜこの施策をやっているのか、数字を追って理解してコミュニケーションをとることが重要。すでにそれが実践できているのが、LATRICOの強みです。

思えば、3社目までは自分の成長や挑戦のために転職をしていました。それが前職あたりから「会社や社会のために何ができるのか」を考えて動くフェーズに変わりました。自分がどれだけ会社にとって力になるのか。そう考えたとき、LATRICOならまだ私がやれることがあるのではないかと考えました。

 

医療にまつわる「社会の困りごと」をメンバーと一緒に解決していきたい

――LATRICOの「東京美肌堂」も、オンライン診療で世の中の困りごとを解決するというサービスです。

プロダクトに共感したのも転職理由の一つです。美肌堂は診察から薬の受け取りまで全てオンラインで完結します。インタビューやアンケート調査の結果でも「こんな症状で病院にかかっていいものかと思っていた」「待ち時間が長かったのに、大して話も聞いてもらえなかった」という声がありました。病院にかかることに抵抗感があり、市販の薬や民間療法に頼った人も多かったようです。でも美肌堂であれば、受診へのハードルが高い人や忙しい人、医療機関が近くにない人も使いやすい。さらに子育て中などの理由でフルタイムで働けない医師や隙間時間に働きたい医師などに依頼することで、医師不足の現状においてもリソースが活用できる。患者側と医師側、両方の困りごとを解決する美肌堂は、社会の仕組みを変えていけると思います。

オンライン診療は伸び盛りで、まだ覇権をとっているプレイヤーがいません。そこでナンバーワンを目指していくことにもやりがいを感じます。今後は服薬だけでは治らない肌トラブルや、食事療法など、肌に関する困りごとの解決にも取り組みたいと思います。

今はより会社をスケールさせるため、新しいプロダクトを開発できる組織づくりを進めているところ。会社と一緒に成長することが楽しいと感じてもらえる人にどんどん来てほしいです。新しい開発技術を試したいとか、腕試しをしたいという好奇心旺盛な人も大歓迎です。

――自分の守備範囲を超えて、それを楽しんでくれる人ならマッチするというわけですね。最後に脇阪さんご自身の目標も教えてください。

本音を言うと、いずれは役職のない一エンジニアに戻りたいと思っています。そのためには、マネジメントができるメンバーを育てないと(笑)。やっぱり私は、プログラミングが大好きなんです。

 

――ありがとうございました。

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