中古仲介とリノベーションのワンストップサービス「リノベ不動産」を手がけるWAKUWAKU。その社名の通り、住宅事業を通して日本を、そして世界中をワクワクさせることを目指しています。23年6月には総額7億円の資金調達を実施。新たなフェーズへ突入します。これからどんなことに力を入れていくのか、またそのために何が必要なのか。鎌田友和代表取締役CEOに聞きました。
◆プロフィール
株式会社WAKUWAKU 代表取締役CEO
鎌田友和(かまた・ともかず)氏
静岡県富士市出身。国内外にグローバル展開する総合不動産企業にて、13年のキャリアの中で通算5,000件以上の不動産取引に関わる不動産のプロフェッショナル。
2013年6月に株式会社WAKUWAKUを創業する。日本全国どこでも、「住宅に暮らしを合わせる」のではなく、「自分好みの暮らしに住宅を合わせる」顧客ファーストのサービス提供を可能とするプラットフォームを提供。住宅のみならず、くらし・働き方・経営・文化・従来の考え方そのものをリノベーションし、「パーソナライズ化された自分らしい豊かな暮らし」の実現のため、産業構造の課題を解決する、業界の枠組みを超えた革命を目指す。
業界ファーストからユーザーファーストへ。ワクワクの持つ力で世界を変えたい
――2013年の創業から10年が経過しました。「リノベ不動産」の加盟店も増える中、資金調達によってどんなことを手がける予定でしょうか。
まずはWAKUWAKUがどんな会社なのかを説明させてください。我々が目指すのは「世界中の人々をワクワクさせること」。不動産業界は業界ファーストな商慣習が続いていて、ユーザーにとっての最適な住まい探しが困難な状況だと感じていました。具体的に言うと、不動産仲介業者はお客様にあった物件よりも、仲介手数料が多く取れる物件を勧めがちです。それぞれコンディションの異なる個別性の高い中古住宅を一軒一軒販売するのは非効率です。しかし、ユーザー側にとって中古住宅を家探しの候補に含めると、物件の選択肢が約6倍に膨らみ、住みたいエリアも選びやすくなります。ただ、住宅業界はまだまだテクノロジーの活用が最も遅れている業界の一つです。煩雑なオペレーションが求められる少量多品種の個別のニーズに対応できる事業環境ではない為、供給側の問題が大きいというのが現状です。
そこで私たちが考えたのが、不動産業界のDX を推進して個別性に対応する煩雑なオペレーションを効率化することでした。また、これまで物件仲介をする不動産、工務店は建築と分断されていた業界を融合ミックスして、仲介(不動産)をしながらリノベーション(建築)も行うという新たな業態が有効だと考えました。これなら仲介手数料率が高い物件紹介に拘らず、リノベーションの提案でハイブリッドで利益が出せる。その上でユーザーから求められていることにも対応でき、商談機会を増やす事が出来ます。これが「リノベ不動産」です。この3年間で、北は北海道から南は九州・沖縄まで、私たちの理念に賛同してくれた加盟店が200店舗を超えました。
すでに加盟店に向けて業界特化統合型クラウド業務基幹システムを開発提供していますが、今回の資金調達を受けてさらにこの機能を充実させていきたいです。世の中には有力なCRMツールなども豊富にありますが、うまく使いこなせないという話もよく聞きます。組織規模が小さい会社が多い不動産業界では、コスト面からもこうしたツールの導入が難しいようです。そのため顧客情報をエクセルで管理したり、紙でキャビネットに山積みに保管されている企業が少なくありません。
私たちが開発したクラウドシステムでは、、マーケティングからアフター管理まで一気通貫で最適管理できます。前回調達した資金でセールス&マーケティング領域に関する部分の開発に注力してきましたが、これからはバリューチェーン全体のDX化に力を入れていきます。
中古物件を探して、そこに都度リノベーションプランや見積もり提案するのではなく、理想の暮らしイメージや間取りプラン提案、最適な中古物件の提案、さらに概算見積もりや住宅ローンの支払いシミュレーションまで、誰でも気軽に簡単に瞬時にイメージ出来る状況を作りたい。
――住宅購入を検討する側にとっても、非常に魅力的に感じます。ただコストやリソースの問題でアナログな商習慣が続いている業界で、WAKUWAKUが自社だけでこの強みを独占してしまえば、不動産業界で一歩抜きん出ることもできたのではないでしょうか。
確かにその通りかもしれません。しかし、私たちは業界の課題にアプローチして産業構造を変えていきたいんです。自分たちだけで直営展開して自分たちが得意とする一定のテリトリーの人だけを満足させるのであれば、私たちである必要がない。いかに日本全体をサステイナブルにワクワクさせる事が出来るのか。そのためには業界課題を根底から解決する必要がある。それは創業1日目から変わらず考えていたことでした。
原材料価格含めた建築費が高騰していることもあり、住宅業界のマーケットは大きなダメージを受けています。本当は中古住宅を扱ったほうがいいと分かっていても、何も武器がなければ事業転換するチャンスを掴めない。また、ユーザーもまだまだ中古住宅やリノベーションの良さを正しく認知している状況とは言えません。その双方のサポートを私たちができたらうれしいです。
リノベーションのことなら「リノベ不動産」へ。そんな企業を目指して
――先ほどユーザーにも「中古住宅×リノベーション」の良さを広げていきたいと仰いましたが、具体的にどのようなことに取り組まれるのでしょうか。
「リノベ不動産」というオウンドメディアを手がけているので、その内容を充実させていきます。200ある加盟店が成約を重ねる中で、「中古を扱っているからこそ知り得る情報」がたくさん集まってきています。リノベーションの場合、解体して初めて分かることもあります。エアコンが付けられないマンションもあれば、追い焚き機能が付けられないマンションもある。防音の基準もそれぞれ違います。いずれはマンションの情報や販売価格、取引事例などに加えて、リノベーション事例にも紐づかせていきながら「ユーザーの生の声」も載せていきたいと考えています。このオウンドメディアに触れることで、リノベーションに関する不安を解消してもらえたら。リノベーションにまつわる情報が日本一集まる媒体にしたいです。
――クラウドの開発やオウンドメディアの拡充などに向けて、マーケティングやエンジニアなど、さらなる人材が必要になってくると思います。鎌田さんご自身として、どのようなメンバーにWAKUWAKUに携わってもらいたいとお考えでしょうか?
数多くあるスタートアップの中でも、WAKUWAKUは、新たなマーケットを創造する破壊的イノベーションを起こそうとしている数少ない会社です。
その壮大なビジョン達成の為には、過去の実績を元にした現実的な目線やアプローチではなく、どのようにしたらワクワクする理想の世界を実現できるのかを、忍耐強く突破する手段を自ら見出す必要があります。
一人では到達できない世界を、ワクワクの持つ力を信じる多くの仲間と共に追いかける。
常に、失敗を恐れず、挑戦を諦めない!常に、多様性を活かし、チームで勝つ!これらはWAKUWAKUが大切にしているValueの一部です。エンジニア、マーケティング、ビジネスと全方位で人材採用を積極的に行なっています。ぜひ、ワクワクの力で世界を変えましょう。
――ありがとうございました。