コロナ禍を機にプログラミングの世界に没頭し、インターンを経て2024年4月にGENDA初の新卒メンバーとして入社した西尾健人さん。新卒2年目でGENDAのグループ企業、シン・コーポレーションのCTOに抜擢されました。西尾さんの成長を支えているのは、GENDAの「世界一のエンタメ企業を目指す」という熱量のもと行われる連続的なM&A、若手に大きな裁量を与えるカルチャーでした。西尾さんと、GENDAの執行役員CTO・梶原大輔さんにM&Aによる成長機会と今後について聞きました。
◆プロフィール
株式会社GENDA プロダクト開発部 FE/BEエンジニア
株式会社シン・コーポレーションCTO
西尾健人(にしお・けんと)氏
東京大学大学院工学系研究科を修了後、2024年4月にGENDAへ1人目の新卒として入社し、プロダクト開発・システム設計・データ分析の業務に従事。2025年7月よりシン・コーポレーションのCTOに就任し、DX戦略の策定やシン・コーポレーションのバリューアップ業務に従事している。
株式会社GENDA 執行役員 CTO /日本CTO協会 理事
梶原 大輔(かじわら・だいすけ)氏
2006年、ヤフー株式会社入社。2007年、グリー株式会社入社。2014年、同社執行役員に就任。2021年10月、株式会社GENDA入社。CTOに就任。2021年10月から2025年1月まで株式会社GENDA SEGA Entertainment(現株式会社GENDA GiGO Entertainment)の執行役員CTO、IT戦略本部 本部長を歴任。2023年9月、執行役員に就任、同年11月より現職。同時に、株式会社GENDA Capital取締役に就任(現任)。
「世界一」を目指す熱量に魅かれ、GENDAへ
――学生時代はどのような生活を送っていましたか?
西尾 大学生の頃はボディビル部に所属していて、それこそ2年生ぐらいまではあまり勉強もせず、筋トレばかりしていました。大会にも出場するなど、部活に打ち込んでいたのですが、コロナ禍で大会が全て中止になってしまったんです。
ちょうど卒業論文に取り掛かる時期でもあったので、「何かやらなくては」という気持ちから、授業で学んでいたプログラミングを深く勉強してみようと思い立ったんです。そこから、人工知能や機械学習といった分野の講義もとるようになりました。
ただ、大学までは卒業論文のためにデータサイエンスを中心に学んでいましたが、直接的に何か動くものを作れるわけではなかったため、ウェブ開発などを勉強したいと考え、大学院に進みました。
大学院時代に、偶然見つけて入ったテック系のサークルが、ミダスキャピタルが協賛する UTTC(UTokyo Tech Club)だったのです。
UTTCのカリキュラムを修了すると、ミダス企業群でインターンでき、ちょうどその時期にGENDAがエンジニアインターンを募集していました。勢いのあるエンタメ系企業でインターンができるのはすごく貴重な機会だと思い、2022年10月からGENDAのインターンに参加しました。
――GENDAのインターンではどんな力がつきましたか。
西尾 GENDAは急成長しているまっただ中で、任せてもらえる仕事の幅や自由度がとても大きく、過去のインターン経験と比べても格段に大きな裁量を与えてもらえました。
働いている方々も「世界一を目指す」という強い意志を持った人ばかりで、その熱量に刺激を受けながら、とても楽しく働くことができました。
インターン期間は、最初は社員の方のお手伝いからスタートし、最終的にはインターン生だけでプロダクトを立ち上げる貴重な機会をいただきました。推し活をサポートする店舗向け会員アプリ「fanfancy+ with GiGO」をリリースしました。アプリの企画・設計からリリースまで、すべての工程をインターン生で完結できたことは、私にとって大きな成長になりましたね。
――GENDAを就職先に選んだ理由は何でしょうか。
西尾 大きく2点あります。1点目は、「世界一のエンタメ企業になる」と会社として掲げる目標が非常に大きく、社員の皆さんが強い意欲と情熱を持って取り組んでいる姿が魅力的だったことです。テックチームはもちろん、ファイナンスなど各分野のスペシャリストが集結していて、「このチームなら本当に世界一になる可能性がある」と思いました。自分もその一員として、世界一になる瞬間をこの目で見たいなと。
2点目は、若手にもどんどんチャンスが回ってくる環境です。インターン時代から、年齢や経験に関わらず、大きな仕事を任せてもらえたので、入社後も自分の成長や挑戦の機会が格段に増えると思いました。
最終的にGENDAを選んだのは“人”が決め手になりました。CTOの梶原さんがいるから、楽しく働けそうだと思ったのが結構大きかったですね。
梶原 「fanfancy+ with GiGO」のアプリ開発のときは、西尾さんがインターンのチームをうまくリードして取り組んでいたのが印象的でした。初めての経験でどう進めていいか分からなくても、関係各所と調整しながらプロジェクトを突き進めていく行動力や姿勢は素晴らしいと思いました。
データ分析から事業戦略策定まで 幅広い業務を経験
――西尾さんの今の仕事内容を教えてください。
西尾 M&Aでグループインした「カラオケBanBan」を運営するシン・コーポレーションの事業推進室で、CTOとして働いています。私が入社1年目だった2024年に、カラオケBanBanのプロダクトをリプレイスするプロジェクトに関わり、約1年ほどかけて完了することができました。
自分たちで新機能を追加できる柔軟性が確保できるようになったので、これまでのカラオケアプリにはなかった機能開発を順次進めています。
さらに、リプレイスによるユーザーの認証基盤が整ったことで、約150万人ユーザーのデータを分析できるようになりました。このデータを活かしながら、現場の方と協力して、店舗の売上を向上させるためのDX戦略やマーケティング施策の立案、実行にも関わらせていただいています。今はエンジニアと事業企画が半々ぐらいですね。
「GENDAのロールモデルに」CTO抜擢の背景
――入社2年目の西尾さんをCTOに抜擢したのは、どのような経緯があったのでしょうか?
梶原 CTOに抜擢した理由は大きく2点あります。
1点目は、確かな実績を積み上げてきたこと。西尾さんは技術的な知識やデータ分析のノウハウを活かし、事業戦略の策定や事業成長に向けた施策の実行を手がけたことで、確実にケイパビリティーを高めることに貢献してきました。
シン・コーポレーションの今後の成長にはテクノロジーが不可欠だと考えており、CTOを置くことでDXがさらに加速すると判断しました。
2点目は、ロールモデルの提示です。西尾さんは、GENDAでは初のグループ企業のCTOです。今後もM&Aによってグループ入りする企業は増えていくため、「グループ企業のCTO」というロールモデルを示すことで、将来の人材育成や組織づくりにもつなげたいという狙いがありました。
通常、優秀な人材がグループ企業に入っても、経営層と直接やり取りできるようになるまでには時間がかかります。しかし、GENDAは、100名規模のホールディングスがあり、そこからグループ企業を支援する組織構造になっているので、すぐに経営層と対話し、物事を進められるのが大きな特徴です。
実際、西尾さんも経営の根幹に関わるカラオケのプライシング(価格設定)も担当するなど、経営的な視座を持ち、仕事に臨んでいます。
――西尾さんが、仕事を通じて最も成長できたと思ったときはいつですか?
西尾 私がGENDAに入社した当時は、まだシン・コーポレーションのオフィスが江戸川橋にあって、常駐しながらプロダクトの顧客基盤のリプレイスに取り組んできました。それこそ、最初はエンジニアリングのところから入っていって、段々と任せられる仕事が増えてきたときに成長を感じましたね。
私が得意とするエンジニアリングやデータ分析を軸に、次第にマーケティング領域や他社とのアライアンスといった業務の幅を広げました。最初は分からないことも多かったのですが、梶原さんの商談に参加させてもらったりして、具体的な取り組み方を学ぶように心がけていました。
また、プロダクトの裏側で動いていたデータベースやソフトウェアが、すでにサポートが終了した古いバージョンで稼働しており、セキュリティー面で大きなリスクを抱えていました。そのため、それらを最新環境に刷新し、かつクラウド化を推進できたことも、大きな成果だったと感じています。
プロジェクトの最中にはトラブルも発生しましたが、現場のメンバーと膝を付き合わせて議論しながら、一つひとつ課題をクリアし、リプレイスを成功させたことは自信につながりましたね。
――働くうえで面白さや楽しさを感じていることはありますか?
西尾 ミダスキャピタル投資先企業群には、新卒エンジニアが2〜3人ほどいて、企業群内でエンジニアのエキスパートの方の話を聞く会に参加したり、新卒エンジニア同士で交流したりと、切磋琢磨できる環境があることは、面白さにもつながっています。
最近ではCTO合宿にも参加して、各社の技術的・経営的な課題を学ぶ機会を得て、勉強になっています。特に生成AIの活用がエンジニアの間で広がるなかで、各社がどのように取り入れて効率化を図っているかを知ることができ、非常に有意義です。
失敗を恐れず挑戦できる土壌がある
――GENDAにはどのような人が合いそうだと思いますか?
西尾 GENDAには「Speed is King」というバリューがあり、その背景には「早く失敗しよう」という意味も込められていると私は思っています。スピードを重視しつつ再現性を持って取り組む。もし失敗したとしても、素早く次の打ち手を考え、次につなげていく。
そうしたカルチャーが全社的に根づいています。ある意味で「失敗しやすい環境」と言えるかもしれません。それは新卒であっても、専門家やプロフェッショナルであっても変わらず、誰もが失敗を恐れず挑戦できる土壌があるということです。自分の意思次第でチャンスが回ってくる環境なので、積極性や成長意欲がある方はカルチャーマッチすると思います。
先ほど、GENDAでは若手に与えられる裁量が大きいと話しましたが、当然、責任も伴います。時には困難やプレッシャーと向き合う場面もありますが、私自身は「自由」と「責任」が両立する環境に大きなやりがいを感じています。そうした状況を前向きに楽しめる人が、GENDAに向いているのではないでしょうか。
失敗を恐れずに「自分が正しい」と思っていることを実行する胆力や、最後までやり遂げる力も求められるでしょう。
梶原 私自身も含めてですが、年齢を重ねると考えが固まりがちです。「これ、おかしくないですか?」と率直に言える人の方が魅力的だと思っています。スキルや経験はもちろん大事ですが、それ以上に違和感を覚えたときに遠慮せず指摘できる姿勢を持っている方がいいなと感じています。
――最後にGENDAに興味のある方に向けてメッセージをお願いします。
西尾 目先の年収や会社のネームバリューにとらわれず、自分が最も成長できる環境を見極め、地道に努力を積み重ねていくことが大切だと思います。GENDAの連続的なM&Aによる非連続な成長とともに、任される仕事の幅も広がり、学びと成長機会が多く得られます。
梶原 私は20代の頃、ソーシャルゲームがまだ爆発的に売れていないころのGREEで働いていました。当時は数十人規模の会社でしたが、刺激的な環境でとにかく必死で働いた経験が今に繋がっているなと思います。今のGENDAも「世界一のエンタメ企業」を目指して突き進む勢いがあります。刺激的な環境に身を置いた経験は、成長という形になって後でついてくるはずです。
――ありがとうございました。