シナジー創出で、世界一のエンタメ企業へ  GENDA 片岡尚・代表取締役会長、申真衣・代表取締役社長に聞く

GENDA 片岡尚・代表取締役会長、申真衣・代表取締役社長

ミダスキャピタル投資先のGENDAは、世界一のエンターテイメントのネットワークをつくり、世の中の「楽しさの総量」を増やすことを目指す。事業の柱は、アミューズメントマシンレンタル、オンラインクレーンゲーム、「SEGA」ブランドのアミューズメント施設運営だ。片岡尚・代表取締役会長と申真衣・代表取締役社長にミダスキャピタル投資先としてのシナジー効果と成長戦略を聞いた。(敬称略)

 

業績好調下での上場企業の社長退任 その真意とは

――片岡会長はアミューズメント関連の上場企業の社長経験があります。アミューズメントの道に進むきっかけは何だったのでしょう。

片岡会長

片岡 「原体験は、小学校4年生の時に自分がつくったゲームが学校中でブームになったことです。簡単なカードゲームでしたが、自分が作り出したもので皆が夢中になって楽しんでいるのを見て、生涯エンタメの世界に身を置きたいと思い、この道を選びました。

大学卒業後はゲーム事業がある会社を探し、アミューズメント施設を展開するジャスコ(現イオン)に1995年に入社しました。子供向けのアミューズメント施設は今では当たり前ですが、当時は珍しかった。最初の2年間は鳥取の店舗で家電売り場の担当で、エンタメとは全く関係のない仕事でした。でも3年目に希望が叶い、1997年にイオンファンタジーの設立と同時に異動できた。これにはちょっとした『戦略』があります。

どうしてもエンタメ担当になりたくて、家族にアミューズメント施設のパートとして働いてもらいました。そこで家族に人脈を築いてもらって役員が姫路に巡回に来る情報をキャッチしたんです。『10分だけ時間をください』と履歴書持参で面接を申し込み、アミューズメント事業部への異動を直訴したのです。『お前面白いな』と、希望をかなえてもらった

イオンファンタジーでは店舗スタッフを振り出しに、エリアマネージャー、本部のマーケティング部門を担当しました。入社当時からアミューズメント事業をスピンオフして、上場させグループの中核企業にしたいと考えていたので目標に向かって突き進む感じでしたね。

ファミリー層をターゲットにした事業モデルは、海外でも受け入れられると考えていたので、海外事業本部長の時には屋内型アミューズメント施設を中国、マレーシア、フィリピン等7カ国に7年間で387店舗出店しました。

2013年にイオンファンタジーの社長に就任し、2015年に同業の会社を買収と合併し、セガやナムコを抜いてアミューズメントオペレーターとして世界一の規模に。2017年からイオンエンターテイメントの社長も兼務しました」

 

――上場企業の社長を退任し、創業を決断した理由は何でしょうか。

片岡 「世界一のエンタメ企業を創りたいと思っていたからです。機動的なM&Aやアライアンスを行うには、ゼロベースで会社をつくったほうがうまくいく。もともと知り合いだったミダスキャピタル代表の吉村英毅から声を掛けてもらい、2018年5月、GENDAの前身になるミダスエンターテイメントを申と起業しました」

 

企業間で知見を共有、新規事業に生かす

――申社長はゴールドマン・サックス証券を経て、GENDAを創業しました。これまでと全く違う領域に飛び込んだのはなぜでしょうか。

申社長

「GENDAでの仕事は初めてのことばかりです。2007年に新卒でゴールドマン・サックス証券に入り、法人営業やデリバティブの商品開発などを担当し、11年勤めました。ゴールドマン・サックスでMD(マネージングディレクター)になったころ、大学のゼミの先輩のミダスキャピタル代表の吉村から『2人が組んだら面白いと思う』と片岡を紹介されたのが2018年の3月でした。

話を聞いてすぐに面白そう、と思いました。私は金融畑でずっとやってきた人間で、片岡とは全く違うキャリアを歩んできた。でも、ものの考え方は似ている部分が多く、このバランスが面白いなと。それに片岡は純粋に人としてのチャーミングさがあり、一緒にやろうと決めました」

 

――ミダスキャピタルは「世界に冠たる企業群を創る」ことをビジョンに掲げていますが、ミダスキャピタルの企業群においてシナジーを生み出せたと感じる点は何でしょうか。

「エクイティ、デットとファイナンスの部分はもちろんですが、それ以外の部分も大きい。志の高い有能な経営者たちが共に大きな目標を目指すのは私たち自身のエネルギーになります。

企業群の各社と助け合えることも大きい。コスト削減の方法などを共有したり、互いに顧客を紹介したりしています。例えば当社がオンラインクレーンゲーム事業を始める時に、ミダスキャピタル投資先のイングリウッドの黒川隆介社長兼CEOに、倉庫の選定から物流まで相談に乗ってもらいました。黒川さんはオンラインでモノを売ることに川上から川下まで精通しています。このようにプロとしてそれぞれの知見やノウハウを共有できる点が大きいと感じています」

 

――アミューズメント市場の可能性は。

片岡 「斜陽産業とみる向きもありますが、全くそんなことはありません。7,000億円あった市場が一時、4,200億円まで下がった後、直近5年間で5,400億円まで回復しています。何が言えるかというと、スマホやPCゲームへの置き換わりは完了したということ。今はリアルな体験型の遊びしか残っていないので、これから市場は伸びていきます。

当社は今、アミューズメントとその周辺領域まで手掛けていて、将来的にはエンターテイメント全域に広げたい。今、海外事業は中国と米国ですが、もっと増やす計画です。コロナ禍で影響は受けましたが、中国、米国とも日本に先行して客足が回復しています。

日本のアニメキャラクター、IPに対する熱狂はこれまで以上に盛り上がっている。日本発の商品を中国や米国で展開していますが非常に反応はいいです」

 

セガエンタテインメントの株式取得、勝因はスピード感

――前職とGENDAでの仕事はどう違いますか。

申社長2

「大きな会社の中間管理職だった前職とは全く違い、日々驚きの連続ですね。私はこれまでの経験を生かして次の仕事をするというより自分が成長することをやりたい、新しいことをやりたいというタイプです。

私からも上場会社の経営者であった片岡に聞いてみたかったことがあります。創業のメリットを考えた時に、株式を保有できるという点も魅力を感じるポイントではないでしょうか」

片岡 「正直に言って、株式保有にそれほど強いこだわりはありません。起業のメリットとしては、意思決定までのスピード感、この一言に尽きます。

例えばGENDAとして最初のM&Aはビジネスチャット数回のやり取りで大枠の条件について合意しました。大企業であれば数カ月かかる。2020年のセガエンタテインメントの株式取得も、話があってから方向性を決定するまで数週間でした。株式取得の打診があったのが最初の緊急事態宣言後の2020年春夏です。リスクをとって意思決定できたのが勝因でした。

とにかく『世界一のエンターテイメント企業をつくる』という夢を、あと20数年しかないビジネスマンライフでどこまで成し遂げられるかどうか。実現するためには圧倒的なスピード感が大事です。大企業だとなかなか難しい。その一点でした。もちろん株を持てることを魅力と感じる人はたくさんいるとは思います」

 

「まだ足りない」と思う気持ちが原動力に

片岡会長2

――2020年のセガエンタテインメントの株式取得は、メディアでも大きく報道されました。会社にどんな変化をもたらしましたか。

片岡 「人材が集まるスピードが加速しました。同業他社の役員クラス、ゲーム会社のIT責任者などエンタメ業界の力のある人材がGENDAに入ってくれています」

「組織強化につながっています。自分たちのスピードがさらにあがり、企業として成長していると感じますね」

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