「2040年に時価総額100兆円」達成のために、ミダスキャピタルはどう進むべきか? 島田亨氏×ミダスキャピタル吉村代表パートナー対談

「日本発の世界に冠たる企業群を創りあげたい」というビジョンのもと、2017年に創業したミダスキャピタル。この5年間で過半数を出資する10社の合計時価総額が2000億円に上り、順調に成長しています。そのミダスキャピタルが得た心強いアドバイザーが、楽天やUSENなど複数の大企業で経営に関わってきた島田亨氏です。島田氏とともに、ミダスキャピタルの吉村英毅代表パートナーが「2040年までに時価総額100兆円を目指す道筋」について話し合いました。

◆プロフィール

株式会社ミダスキャピタル 顧問
島田亨(しまだ・とおる)氏

1987年株式会社リクルート入社。1989年株式会社インテリジェンス(現パーソルキャリア株式会社)を宇野康秀らと創業。1999年にインテリジェンス退社後、今日に至るまでエンジェル投資家として活動し通算250社強のスタートアップをサポート。その間、2004年〜2015年まで、 株式会社楽天野球団代表取締役社長兼オーナー、楽天株式会社代表取締役副社長などを歴任。2017年〜2021年は株式会社USEN-NEXT HOLDINGS取締役副社長COO。ほか複数の企業で経営に参加。

 

株式会社ミダスキャピタル 代表パートナー
吉村英毅(よしむら・ひでき)氏

東京大学経済学部経営学科卒。2003年大学在学中に株式会社Valcomを創業。2007年株式会社エアトリを共同創業し代表取締役社長に就任(株式会社Valcomを吸収合併) 。2016年株式会社エアトリを東証マザーズ上場、2017年東証1部上場。2017年株式会社ミダスキャピタルを創業し、後に代表取締役社長に就任。同年ミダスキャピタル第1号案件として株式会社BuySell Technologiesを買収。後に取締役会長に就任し、2019年東証マザーズ上場。

 

ミダスキャピタルの哲学に共感し、顧問を引き受けた

――島田さんは2022年9月にミダスキャピタルの顧問に就任されました。これまでさまざまな企業から顧問の要請があったかと思います。なぜミダスキャピタルを選んだのでしょうか。

島田 ミダスキャピタルと私の投資哲学に近いものを感じたからです。私はベンチャーへの投資を20年以上続けていますが、当初から「人のお金を預からない」と決めていました。事業は生き物のようなもの。さらにベンチャーは変化が激しく、時に手を差し伸べながらも忍耐強く待つことがほとんどです。一般的なファンドには償還期限があるため、投資家にリターンを出すために損得を考えて動きます。でも、ミダスキャピタルは投資先企業の起業家や実業家、テクノロジー人材などからなる“ミダスキャピタルメンバー”だけが出資できる仕組み。自分たちが信じる企業に金銭面やリソースをサポートして見守り続けています。そのようなファンドを私は他に見たことがありません。

 

――実際に顧問に就任されて、その印象は変わりましたか?

島田 経営者としての吉村さんの評判は以前から聞いていましたが、ユニークでオリジナリティがあり、なおかつ本質的なアプローチをする人だと感じています。

吉村 島田さんは大企業のトップマネジメントのご経験が豊富で、私たちがまだ見たことがない景色を知っている方。さらにエンジェル投資家としての知見もあります。また、誰をも魅了する人間性に私も強く惹かれ、ぜひご指導いただきたいと思いました。

 

3、4社を同時進行でサポートできる体制づくりが鍵

――吉村さんはメディアなどで「時価総額100兆円を目指す」と公言されています

吉村 2030年までに10兆円、2040年には100兆円を目指しています。まずは短期的に1兆円を達成するべく、今はそちらにフォーカスしています。そのためにやるべきことは既存の発行体10社を成長させること、さらに新規の企業を見つけて育てること。この2点かと思います。

既存の発行体に対しては、人材の支援に重きを置きながら、テクノロジー、マーケティングのサポートも行っています。2017年の創業以来順調にやってこれたと思いますが、もっと早く成長しなければ1兆円は目指せないのではないかとも考えています。

島田 1兆円が達成できれば10兆円までのカーブは多少直線的になるでしょうが、100兆円を見据えるとミダスキャピタル1社だけでは難しいかもしれない。日本の証券市場は上場までのプロセスが長いですよね。米国のような「乗るのは早いけれど降りるのも早い」という仕組みとは真逆。ダイレクトリスティングができる環境を整えていくことが、これからの日本の新しい経済、産業を育てていく上で重要になってきます。ミダスキャピタルが10兆円、100兆円を目指すためにも、マーケットそのものに乗る仕組みを変えるためにも、団体をつくるなどの工夫が必要になってくるかもしれません。

 

実績とスキルのあるシニアの力を借りて、組織を強くする

――サポート体制の強化について、もう少し詳しく伺いたいです。投資先企業の経営者からは「ミダスキャピタルには相互扶助の精神が根付いているので心強い」というお話をよく聞くのですが、いかがでしょうか。

吉村 補足すると、ミダスキャピタルの人材を厚くして、そこから投資先企業のサポートにあたるという側面と、投資先企業全体での相互扶助という独自の側面があり、これまで両輪でやってきました。

島田 リクルーティングや人件費などの課題がありますが、やはりコアとなる人材は必要。これからもミダスキャピタルの中にファンドとしての投資先サポート機能を強化していく必要があります。また、ミダス企業群に参画したメンバーたちが相互扶助の観点で動いていくというのは素晴らしい考え方。ただ、誰しも相当な忙しさを抱えています。お互いに支え合うことにも限界があるので、そこにジレンマもありますよね。

ミダスキャピタルの理念に共感してくれるシニア人材の力を借りるのも一つの手だと思います。マーケティングに長けている、大企業で開発や製造に関わっていたなどの専門的な知識や見識があって、フルタイムで働くのは年齢的に難しいという人。そういう人たちにフェローとして関わってもらうといいかもしれません。

吉村 確かに私たちはリファラル採用を重視しているので、結果として年齢もバックグラウンドにおいても同質性が強くなっていました。

島田 リファラルでレベルが高い人が集まれば、多少同質性が強くなろうと全体のパフォーマンスが上がるのは間違いありません。だからそのままでいいと思います。そこにシニアの力が加わることで、シナジーが生まれる気がします。

 

次世代に向けて実装すべきサービス、プロダクトに目を向ける

島田 時価総額を唯一の指標として追いかけるのはとてもユニークだと思うので、続けたほうがいいと思います。ただ、吉村さんや一部の投資先企業経営者にとっては、1兆円、10兆円という数字が想像できても、それ以外の人たちにとってはあまりピンとこないかもしれない。だから時価総額とは別の指標がほしいですよね。そもそも、時価総額を指標にしたのは、企業群の目線を統一する意図があってのことだったのでしょうか?

吉村 目標金額を掲げて、それを各社に分解して考えていくという目的でした。ただ、特に未上場の会社にとっては、手触り感が少ない数字を言わざるを得なくなるという矛盾も抱えています。

島田 時価総額はあくまでミダスキャピタルのKPI。投資先企業はそれぞれでKPIを設定して、自分たちでそれを最短で達成するための戦略を考えられるようになると、各社がもっと伸びていくかもしれませんね。

また、今後仲間にしたいという企業を考える際は、「世の中には絶対これが必要」というプロダクトやサービスを提供している会社にフォーカスしていくのもいいと思います。1兆円までなら、収益性と成長性の高い会社が2、3社あれば叶うかもしれない。でも10兆円、100兆円を目指すなら、事業そのものが社会実装すべきものを手がけていかないと。例えば、テスラの電気自動車が世界を変えたように。医療のデジタル化やメタバースなど、これからの社会に求められるものはたくさんあるので、テーマを持って会社をソーシングしていくといいでしょう。100兆円とは、それほどまでに大きな話だと思います。

 

――ありがとうございました。

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