20年来のロングセラーMAツール『aimstar(エイムスター)』、大規模改修により更なるスケールアップを図る

2021年7月にミダスキャピタルからの投資を受け、新しいメンバーも続々加入したことで第二創業期を迎えるスプリームシステム株式会社。MA(マーケティングオートメーション)ツール『aimstar(エイムスター)』などを手掛ける同社のエンジニアチームの皆さんに、これまでのご経歴や製品への思い、今後の展望についてお話を伺いました。

◆プロフィール

スプリームシステム株式会社
プロダクトディベロップメント部
戸部貴紀(とべ・たかのり)氏

弘前大学理学部物理学科にて実験データのコンピュータへの取り込みプログラム開発を専攻。卒業後は独立系SIerに就職し、小売店の売上管理システムや工場の納品管理システムなどの開発を担当。そのときのプロジェクトで一緒に仕事をしたメンバーと小さな開発会社を立ち上げる。スプリームシステム株式会社に入社し、それ以降aimstarの開発を続けている。

 

スプリームシステム株式会社
プロダクトディベロップメント部 データサイエンティスト
河上隼大(かわかみ・はやた)氏

一橋大学大学院経済学研究科にて産業組織論を中心とした経済学の研究に従事。2016年にスプリームシステム株式会社に入社し、動線分析プロダクト「Moptar」やMAツール「aimstar」の分析集計・機械学習機能の開発に従事した後、データサイエンティストとしてデータ分析・機械学習プロジェクトの提案・デリバリーを経験。経験したプロジェクトの領域としてはマーケティング施策の効果予測、レコメンド、店内人物動線分析や画像解析など。現在は、データサイエンティスト兼プロダクト開発チームの一員として、プロダクトのAI機能開発も担当している。

 

スプリームシステム株式会社
aimstarクラウド事業部 テクノロジーグループ テックリード
稲田修也(いなだ・しゅうや)氏

東京大学大学院情報理工学研究科にて自然言語処理を中心にした機械学習の研究に従事。株式会社メルカリにて機械学習や機械学習基盤を中心にした開発を担当したのち、株式会社Picableを創業。取締役COOに就任し、動画共有サービスなどの開発全般を担当。
2020年株式会社stand.fmに入社し、音声配信アプリの開発を担当。主に音声配信基盤のテックリードとしてサービスの改善に従事。
2022年1月スプリームシステム株式会社にテックリードとして参画。

 

システムをモダン化し、次の20年も愛される製品へ

――スプリームシステムで担当されている業務内容についてお聞かせください。

戸部貴紀氏

戸部 私はスプリームシステムに入社してもう十数年になりますが、ずっとaimstarの開発を手掛けています。aimstarはご存じの通り2004年にローンチされたMA(マーケティングオートメーション)ツールです。豊富な分析・抽出テンプレートがあり、迅速に売り上げ拡大を実現できるほか、ツールのために再度データを加工し直すといった現状の業務スタイルを変更する必要なく、スムーズに業務移行ができることが特徴です。aimsterは発売後20年近くが経過しているロングセラー製品ですが、時代の要請に合わせてフレキシブルにその機能を拡充してきました。私はaimstarのコアとなる仕組みを長く担当していますが、分析機能や自動化機能など、その時々によって注力する機能が異なります。注力したい機能に応じて、どのような仕組みで実現するのか考え、実装していくのが私の仕事です。
お客様からの要望に長年応え続けてきた結果、現在、非常に多くの機能が付加された巨大なプロダクトになっています。従って、今は大きくなりすぎたシステムを稲田さんたちとともにスリム化していくというフェーズに入っています。システムのメンテナンス性をよくしていく作業です。

稲田修也氏

稲田 自分は2022年2月入社で、今は戸部さんが言ったaimstarのメンテナンス性を改善するためのプロジェクトに入っています。入社早々、そのプロジェクトを主導していた方から「このプロジェクトのリードをお任せしたい」と言われ、そこから怒涛の日々が始まりました(笑)。aimstarは、戸部さんが作り出した最強ソフトウェアで、それを使える人がいれば最強なのですが、社内外のさまざまな方に作業を依頼する際に、aimstarで使われている独自の仕組みを理解するのに時間がかかってしまい、事業をスケールしづらいというデメリットがありました。そこで今はその独自システムを一般的なWEBアプリケーションに書き換えていくという作業に注力しています。

河上隼大氏

河上 現在は主に二つの業務を担当しています。一つ目は、開発チームの一員として、データ分析・機械学習技術を活用したaimstarの機能の企画開発を行っていく業務です。二つ目は、データサイエンティストとしてデータ分析・機械学習技術を活用し、aimstarユーザーのマーケティング業務のコンサルティング支援を行っていく業務です。aimstarのユーザーに対して「機械学習を利用することで、こんなことが実現できます。マーケティング施策・業務をこのように改善できます」と提案し、実際に機能を実装して実現していくイメージですね。今はaimstar関連の業務が中心ですが、aimstar専属というわけではなく、Moptarでの店内動線分析や画像解析プロジェクト等も含め、データ分析や機械学習に関連するプロジェクトを社内横断的に担当している形です。

 

――スプリームシステムに実際に入社されて感じること、社風などについて教えてください。

戸部 気が付けばずいぶん長くいます(笑)。ずっとaimstarを担当してきたのでプロダクトへの愛着も人一倍です。私と同じように、製品愛の強い方が多いと感じますね。他のアプリケーションをやってみたいという思いももちろんあるのですが、aimsterには本当に愛着があるので、誰もが簡単に使えるようにブラッシュアップしていきたいという思いのほうが今は強いかもしれません。

稲田 aimstarがロングセラー製品でもあるので、製品愛が強い方が多いと私も感じます。製品をよりよくするためなら、これまでのやり方を変えていくことに異論はない、という雰囲気が強く、そこがとてもいいなと感じます。人柄や考え方も入社前に感じていた通りで、とても働きやすいです。事業のゴール設定がややストレッチ気味ではあるのですが、それを絶対死守するぞ!という熱意も感じますね。

河上 あまり部署で垣根をつくらずに、困っていることがあれば、お互いに融通しながら担当する社風だと感じます。ドリンクコーナーで誰かが困っている話をすると、皆が話に加わって解決策を考え出す。フロアも一つで経営陣との距離が近いことも理由の一つかもしれません。

 

自社製品開発にかける強い思い

――改めて、これまでのご経歴についてお聞かせください。

戸部 学は物理学科でしたが、そこで携わっていたコンピュータやソフトウェア、システム開発に興味を持ち、大手SIerに就職しました。そこで店舗の売上管理を扱う業務システムの開発を手掛けていたのですが、とある企業様の基幹システムを改修するプロジェクトがあり、その時に知り合った得意先の担当者たちと意気投合して、独立。小さなソフトウェア開発会社を立ち上げました。しばらくその企業を経営していましたが、そこが事業としてうまく立ち行かなくなり、最終的にスプリームシステムと縁があって入社しました。

稲田 大学院では機械学習や人工知能を専攻し、文章の要約や翻訳、画像認識などを扱っていました。在学中に、当時一緒に住んでいたシェアハウスの友人たち4人と独立して会社を立ち上げ、その後、起業家育成プログラムで知り合った別の方と新しく別会社を立ち上げて、食べログの動画版のようなグルメ動画アプリ、ZOOMのスマホ特化版のようなアプリなど、これまで多くのスマホアプリを開発してきました。

その後、音声アプリを手掛ける会社を経て、スプリームシステムに入社したのですが、実は、2021年10月頃まで、前職でテックリード兼エンジニアリングマネージャーという役職にあり、転職するつもりは特にありませんでした。ただスタートアップでテックリードという役職についていたこともあり、色々なCTOの方々と会食をするような機会があったんですね。その中でも一番魅力的に映ったのは、ミダスキャピタルが投資している企業にいらっしゃったCTOの方々でした。PEファンドなのにテックに注力しているというギャップに面白さを感じ、さらにお話を伺ってみようと思ったんです。その後他のミダスキャピタルの投資先企業の方々や戸部さんはじめスプリームシステムの皆さんとお話しする機会を頂いたのですが、さらに惹き込まれていきましたね。より成長できる環境があること、そこに所属している人たちが、本当にこの事業を伸ばそうとしていて、よりよくするためなら変革も厭わない覚悟があると感じたことなどが決め手となり、転職を決意しました。

河上 私はお二人に比べて非常にシンプルで、1社目がスプリームシステムです。元々大学院では経済学を専攻していましたが、当時からデータ活用が社会的・ビジネス的にも注目されており、私もデータやサイエンスの技術を使って社会に価値を生み出す仕事がしたいと考えていました。
入社後、最初のプロジェクトとしては顧客導線分析システム「Moptar(モプター)」の開発を担当しました。カメラやセンサーを使って人物の位置情報を追跡できるシステムです。例えば、ある消費者が店舗で買い物をする場合、店舗内のどこを通り、どこで立ち止まって、何を購入したかを分析します。入社した当時は、既にMoptarの計測機能は充実してきており、その情報をどのように使っていくかを考えるフェーズでした。顧客の3D空間上の位置座標データが正確に計測できたとしても、それをマーケティングに生かす情報に変換することはなかなか難しいものです。そこで、さまざまな切り口で集計したり、図にしたりしながら分析して可視化するための機能が必要になります。例えば売り場ごとの滞在時間や売り場に立ち寄った人の転換率などを分析する機能の開発を手掛けてきました。

その後は、時期に応じてaimstar/Moptarを行き来しながら、機械学習の学習・推論を行うAPI開発や、レコメンドアルゴリズム改善、DM送付先最適化、人物や動物の画像解析プロジェクト等を経験してきました。

 

――今後実現していきたいことについてお聞かせください。

河上 aimstarは、機械学習の技術もまだまだ発展の余地がある製品です。もっともっと応用を利かせて顧客の売上向上に寄与できるような機能をどんどん実装していきたいと考えています。 aimstarは顧客ごとにモデルを変えて最適化していく製品ですが、少々難解で専門的なスキルが必要な部分も一部あるため、今後はより使いやすい仕様にブラッシュアップしていきたいですね。
また、aimstarでは、多種多様な業界業態のお客様がいらっしゃるので、将来的にはそれらのデータを分析し、マーケティング領域において共通した汎用的な傾向性をとらえたモデルや機能開発にも挑戦していきたいです。
個人的には開発のスキルをさらに向上させ、よりプロダクトに還元していきたいと考えています。

戸部 aimstarは現在バッチ(ある決まったタイミングに合わせて自動で一括処理する方式のこと)で取り込んだデータを使用した分析・抽出する仕様になっていますが、リアルタイムで受け取ったデータをもとにすぐに販促などのアクションができるようにしていきたいですね。また、誰でも使えるツールにしたいという思いは私も共通してあります。ユーザーにとっては考える部分が多く、例えば、メールを出すにもどのようなターゲットにするかをすべてユーザー側で考える必要があり、そのための設定が複雑な部分も一部あります。今、それらをAI技術で巻き取って、ユーザー側の作業を少しでも簡単にできるよう取り組んでいるところです。

稲田 やはりaimstarは処理するデータが膨大にあるので、その大規模データを処理する部分の改善をしていきたい。コストダウンもそうですし、機械学習を活用してすぐに情報を返せる基盤を作る取り組みもチャレンジングで面白いと感じます。

 

――採用を考えている方々へのメッセージをお願いいたします。

戸部 まだまだ小さな会社なので、「こんなふうに取り組んでみたら面白いかもしれない」と自分で考えて動いていける人にとってはとても面白い会社なんじゃないかと感じます。

稲田 プロジェクトをリードできるような人はもちろん、「まだまだ勉強中です」というような人であってもどんどん成長していける会社だと思うので、周囲をうまく巻き込みながら最終的にみんなで成果を出していくことができるんじゃないかなと思います。

河上 皆さんの言う通り、スプリームシステムはいろんなことを自分でチャレンジしてスキルを身に着け、成長していきたいという人にとっては非常にやりがいのある環境ではないかと感じます。最近では、毎月のように新しいメンバーにジョインいただいており、様々な分野で一流のスキルや実績を持った方々と一緒に仕事をさせていただくことで刺激を受ける機会が増えてきたと感じています。今は第二創業期に入り、さまざまなことをスピード感をもって変革していこうと動き始めている段階です。大きく変化・成長していく組織・環境の中でやっていきたい方にとっては非常にいいチャンスだと思いますし、私自身もより面白い環境になってきたと感じています。
本気で会社を成長させようという意欲を持ったメンバーがすごく多いので、これからますますいい環境になっていくのではないかと期待しています。

 

――ありがとうございました。

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