「AI×データ」で生成AI時代の勝ち筋をつくる GROWTH VERSE渡部CEO、南野CTO、諸冨CFOインタビュー

「データ×AI」で顧客企業の成長力を最大化させる、AI SaaS開発の株式会社GROWTH VERSE。AIに精通したエンジニア経営者・南野充則氏と財務のプロフェッショナル・諸冨圭輔氏が参画した2024年1月の経営体制の刷新から1年あまり。2社のM&Aを進め、AIテックカンパニーとしての存在感を増しています。新体制の成果と今後の挑戦について、代表取締役CEOの渡部知博氏、代表取締役CTOの南野充則氏、取締役CFOの諸冨圭輔氏に聞きました。

◆プロフィール

株式会社GROWTH VERSE 代表取締役CEO
渡部 知博(わたなべ・ともひろ)氏

福岡教育大学大学院教育学研究科卒。2008年株式会社日本総研ソリューションズ(現: 株式会社JSOL)入社。SEとしてWebアプリケーション開発経験を経た後、金融・公共営業部門にてアカウント営業を担当。2012年から2021年まで外資系SaaS企業(Salesforce、Yext)にて中小〜大手企業向け営業および営業責任者として国内マーケット拡大に従事。2022年1月スプリームシステム株式会社(現株式会社GROWTH VERSE)に執行役員CRO(Chief Revenue Officer)として参画。同年10月代表取締役社長兼CEOに就任。愛媛県北条市(現・松山市)出身。

株式会社GROWTH VERSE 代表取締役CTO
日本ディープラーニング協会理事
南野 充則(なんの・みつのり)氏

東京大学工学部卒。大学在学中にヘルスケアスタートアップ、株式会社MEDICAおよびCDSystem株式会社を創業。東京大学在籍中に、北京大学で開催されたスマートグリッド分野における国際学会で世界一の座を争い、「BEST STUDENT AWARD」を受賞する。2016年8月に、国内初となるウェルネス・ヘルスケア領域に特化した人工知能研究所「FiNC Wellness AI Lab」を設立。2017年、ディープラーニングを中心とする技術による日本の産業競争力の向上を目指す団体、「日本ディープラーニング協会」最年少理事に就任。2018年9月にFiNC Technologies代表取締役CTOに就任。2024年1月株式会社GROWTH VERSE代表取締役CTOに就任。

株式会社GROWTH VERSE 取締役CFO
諸冨 圭輔(もろとみ・けいすけ)氏

東京大学経済学部卒。 新日本有限監査法人東京金融部を経て、株式会社経営共創基盤にてハンズオンによる成長戦略の策定・実行に従事後、企業の経営課題を解決するコンサル会社、株式会社グランディールパートナーズを設立。2023年7月には株式会社トライトのIPO準備室長として東証グロース市場への上場を経験。2024年1月株式会社GROWTH VERSE取締役CFOに就任。

AIと財務のプロが参画 強力な成長エンジンを積んだ

――2024年1月に代表取締役CTOに南野さん、取締役CFOに諸冨さんを迎え入れ、経営体制を一新しました。背景を聞かせてください。

渡部
2022年に代表に就任し、多くの顧客企業の声を聞くなかで、必要とする経営陣のケイパビリティが見えてきました。主軸のマーケティングAI SaaS「AIMSTAR」のようなプロダクトを進化させるためには、専門性の高いリーダーシップを発揮する経営陣が欠かせません。
2024年1月1日に新体制を発足させ、代表取締役CTOに南野を、CFOに諸冨を迎え入れました。AIに精通し、日本ディープラーニング協会理事でエンジニア経営者の南野、財務のプロで、事業会社のIPO責任者として上場を実現させた諸冨という強力な体制が整いました。創業25年を迎え、第二創業期に入ったという認識です。代表が私と南野のダブルエンジン体制になり、2馬力になった実感があります。

南野
これまで、AIやデータ活用の分野でさまざまな事業を手掛けてきましたが、GROWTH VERSEはその集大成ともいえる挑戦ができる場だと感じています。「AIMSTAR」は通販、金融、旅行、アパレルといった多くの大手企業での導入実績があり、顧客のLTV(Life Time Value)最大化を支援するプラットフォームとして高く評価されています。このプロダクトを磨くことで、会社の成長を加速させます。

諸冨
新しい経営体制で重視するのが、攻めの財務基盤です。特に上場を視野に入れた準備や、必要な資金調達を円滑に行うことを通じて、会社の長期的成長を支えたい。また、南野の戦略と渡部の推進力を裏から支える形で、組織全体をより強固にしていくのが私の役割です。

渡部
経営体制の刷新で、これまでにはないスピード感と実行力を得ることができました。特に、南野の描く事業戦略と、諸冨の財務面での安定感が、この1年の成果につながりました。三位一体となって、新たな挑戦に取り組んでいきたいです。

――経営体制の刷新のタイミングで、社名を「スプリームシステム」から「GROWTH VERSE」に変更しました。

渡部
「GROWTH VERSE」にしたのは、新しいビジョンを明確に示すためです。「GROWTH」には顧客とともに成長するという思いを込め、「VERSE」は宇宙や広がりを表しています。さまざまな業界や企業の成長を支えるプラットフォームとしての存在感を示す、象徴的な名前にしたかった。いくつか候補を絞り、最後は南野と私がアイデアをやり取りしながら、「これがいいね」と決めました。

南野
30個くらい候補となる単語を出しましたね。最終的に選んだ「GROWTH」と「VERSE」の組み合わせは、私たちの達成していきたいことに非常にフィットします。この名前には、私たちが進むべき方向性を象徴する意味が込められています。

業界特化ソリューションが次のAI時代の勝ち筋

――2024年はM&Aを積極的に進めました。狙いを教えてください。

渡部
2024年は、既存事業の成長に加えて、2社のM&Aで事業ポートフォリオを拡充する年でした。2024年5月に取得した人流分析AI SaaS「ミセシル」、11月に取得した売上管理AI SaaS「Zero」は、それぞれオフライン市場での課題解決に特化したプロダクトで、非常に大きな可能性を秘めています。マーケティングAI SaaS「AIMSTAR」との組み合わせによって、オンライン・オフラインの顧客データを統合し、より高度なデータ活用が可能になりました。M&Aによって事業成長の要ともいえるエンジニア採用にもつながります。

南野
補足すると「ミセシル」は、ショッピングモール全体のデータを可視化し、テナントやモール全体のパフォーマンスを最適化するツールです。スマホビッグデータを活用し、自店・競合店・商圏の人流を分析するAI SaaSです。業界トップクラスの3000万人の位置情報、4.8億UB(ユニークブラウザ)のWEB閲覧履歴などと、国勢調査データを掛け合わせた分析を行います。「Zero」はテナント向けに、売り上げの分析・報告を効率化するツールです。人の流れと売り上げデータを合わせることで、一段細かい分析ができるようになりました。2つのプロダクトは補完効果が大きく、ショッピングモールの効率化を支えます。また「AIMSTAR」とデータ統合することで、既存のオンラインBtoCに加え、オフラインのBtoC企業にもサービス提供が広がっています。

――オンラインとオフラインのデータ統合は、あらゆる業界で注目されています。

渡部
そうですね。私たちの強みは、単にデータを統合するだけでなく、顧客の経営成果につなげることです。一貫性のあるデータ活用の実現により、的確なマーケティング施策や経営判断が可能になります。

南野
市場全体を見ると、既存のAIサービスは汎用性はありますが、業界ごとの最適化ができていない状態です。データ基盤やシステムは業界ごとに異なるため、業界に特化したソリューションが次のAI時代の勝ち筋になります。つまり「業界×業種×地域」のマスのシェアをどれだけ多く獲得できるかが鍵になってきます。GROWTH VERSEはEC・ショッピングモール業界での取り組みをベースに、「マルチバーティカル戦略」として他業界にも応用できるモデル構築に注力しています。例えば、金融業界ではリスク管理の高度化、アパレル業界では需要予測の最適化、旅行業界では顧客体験の個別化といったように、業界が抱える課題解決につながるソリューションを提供したい。M&Aを主軸に、AI事業とサービスを拡大して最速でマーケットを獲得する考えです。

諸冨
2025年3月、シリーズBラウンドで計5億円の資金調達を発表しました。累計調達金額は21.6億円です。業績好調でAI領域で協業させていただいているパートナーからより深く連携したいなど、興味を持っていただいています。
調達した資金は、今春にもリリースする生成AI搭載のレコメンドエンジン開発、新規M&Aに充当します。M&Aは年間で1,2件ほどコンスタントに進めたい。AI SaaS領域でM&Aを行うことで成長し、2027年9月期までに2024年9月期比で売上高5~10倍を目指します。

渡部
M&Aは単なる規模拡大ではなく、事業シナジーを最大化するための戦略的な一手です。これにより、クライアントの多様なニーズに応えられる体制を整え、業界全体の成長を牽引する存在になりたいと考えています。

連携するミダスキャピタルからの多面的支援

――GROWTH VERSEの成長エンジンは何でしょうか。

渡部
成長要因の一つが、ミダスキャピタルとの連携です。ファイナンス、テクノロジー、ビジネス、人材の4つの側面からサポートを受けています。ファイナンスは投資家や銀行の紹介やM&Aの企画実行まで、テクノロジーでは技術だけではなく、採用からマーケティング支援までといった具合です。特に、M&Aや新規事業の立ち上げでは、ミダスキャピタルの吉村英毅・代表パートナーの洞察力やアドバイスが非常に役立ちました。

南野
資金調達面だけでなく、必要な人材やクライアントとの接点をつなげていただくなど多面的です。ミダスキャピタルには多様なプロフェッショナル人材が集結しています。彼らの広いネットワークを活用して、当社のプロダクトや事業を広く展開できるよう後押ししてもらっています。

諸冨
ミダスキャピタルの2017年の設立以来、3社の上場を実現させてきた知見に基づく、ファイナンス面でのアドバイスは大きいです。採用でも大きな支援をいただいています。CFO、CTOをはじめ多様な職種でのリファラル採用支援、豊富なネットワークを活用し提案をいただけるため、組織強化に役立っています。

顧客企業のサポートが自社の成長につながる

――新たな経営体制のもとでの成果を踏まえ、GROWTH VERSEの未来像について教えてください。

渡部
「BUILDING AI to maximize Business Growth」のミッションを全役職員が念頭に置き、第一にクライアント企業の成長に向け尽力すること、それが結果的に自社の成長に繋がるというサイクルの実現に向けて邁進します。また、私たちが目指しているのは、単なるテクノロジー企業ではなく、業界全体の進化を支えるパートナーとしての存在です。AIやデータ活用を通じて、クライアントの成長を支援することはもちろん、最終的に社会全体への貢献につながると信じています。

南野
これからのGROWTH VERSEは、さまざまな業界における課題を解決するためのイノベーションを推進していきます。成功事例であるEC・ショッピングモール業界にとどまらず、新しい業界や市場にも積極的に挑戦し、AIとデータの力で業務効率化や顧客体験の向上を実現していきたいと考えています。

諸冨
これからの成長を支えるためには、財務の安定を軸に、さらなる挑戦を支える基盤を築くことが欠かせません。M&Aや新規事業への投資に必要なリソースを確保しつつ、財務面での柔軟性を高めていきます。また、AIやデータを活用して新しい市場や業界へ進出するために、必要な人材やリーダーを育て、組織全体を進化させます。

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