ヤフー、グリーを経て10社以上のスタートアップをグロースさせ、 GENDAにジョインしたCTOが考える、リアルビジネスの面白さ

ヤフー、グリーを経て、10社以上のスタートアップ企業の社外取締役、技術顧問に就任して成長戦略に携わった後、エブリーのCTOを務めた梶原大輔氏。
そんな梶原氏が、2021年10月、ゲームセンターの運営を中心としたアミューズメント事業を展開するGENDAのCTOに就任しました。これまでインターネットビジネスでキャリアを重ねてきた梶原氏が、初めてリアルビジネスを行うGENDAにジョインし、CTOに就任した理由などを伺いました。

◆プロフィール

株式会社GENDA CTO
梶原大輔(かじわら・だいすけ)氏

2006年広島大学大学院工学研究科情報工学専攻修了後、ヤフー株式会社に入社。エンジニアとして複数のプロダクト開発を行う。 2007年グリー株式会社に入社。2014年より同社執行役員に就任し、開発本部長、事業本部長を歴任。2016年より複数の子会社の代表取締役・取締役として新規事業の立ち上げを行う。2017年同社退社後、10社以上の企業の社外取締役・顧問・出資支援を行いスタートアップ企業の成長戦略に携わる。2018年に株式会社エブリー入社。取締役CTOに就任。2021年10月GENDAに入社。CTOに就任。

 

ヤフーから30人時代のグリーへ入社、縁の下の力持ちのような役割でヒットゲームの裏側を支えた

――ヤフー、グリーなど多くの著名な企業で活躍されてきた梶原さんですが、改めてご経歴について教えてください。

研究者の道に進むよりネットビジネスやWebサービスを作る側に回りたいと思い、大学院を修了して新卒でヤフーに入りました。

その後、グリーに入社していたヤフーの先輩から「グリーに来ないか」と誘われ、2007年に転職。その頃のグリーは社員数が30名くらいでエンジニアも10名いるかいないか。まだモバイルゲームには参入しておらず、フィーチャーフォン(いわゆるガラケー)用のソーシャルゲームプラットフォーム「GREE」を運営するフェーズでした。

当時GREEは、利用者数、トラフィック数が驚異的に伸びている時期で、私はアプリケーション基盤やサーバー、ネットワークなどインフラ基盤の開発に携わりました。ただ、人手が足りない時期でもありましたので、基盤系の開発を担当しながら、さまざまなサービス開発プロジェクトが立ち上がるとそれらにも次々とアサインされ、複数の役割を引き受けていました。ゲーム開発にもアサインされ、ヒットゲームの裏側を支えていました。

 

開発部門のマネジメントから子会社の幹部を経験し、エンジニアとしての視点と同時に経営者の視点も身についた

――グリーでは経営にも携わっていらっしゃいますね。

ゲームがヒットしたことで会社は大きくなり上場を果たし、海外展開も進みました。そのあたりから、どうやったら組織をうまくマネジメントできるのかといったことに興味を持つようになり、尊敬する経営者や気になる経営者などの考え方や発言から多くのことを学ぶようになりました。短期間ですが海外に行く機会もあり、海外のベンチャー経営などを見られたことも大きかったと思います。

そうした頃から、エンジニアとして関わった開発部隊のマネジメントに携わる機会が増えていき、執行役員に指名。開発本部長や事業部長などを任され、既存事業のインターネット化などを進めていました。グリーにいた最後の3年ほどは完全にエンジニアを離れ、新規事業の立ち上げを任され、複数の子会社の社長や取締役に就いていました。
エンジニアとしての視点と同時に経営者の視点も併せて持てるようになったことは大きかったのではないかと思います。

 

――2017年にグリーを離れられてからはスタートアップの成長戦略などを多く手掛けられてきました。

グリーで10年勤めたあとは、同業者や元グリーの方などから声を掛けていただき、自分もいろいろなビジネスモデルを知りたいという思いもあって、10社以上の企業の社外取締役や技術顧問を務め、投資をしたりアドバイザーとして入ったりするなど、スタートアップ企業の成長に携わっていました。

 

――ここまでのキャリアはすべてネットサービス関連です。なぜGENDAという事業会社へ転身されたのですか。

ヤフーに入ったときから、「生活をITで便利にしたい」と考えていました。その後の企業との関わりも同様です。ネットサービスとか事業会社とかは関係ありません。ITがうまくはまって、お客さんも働いている人も便利になればいい。そういう意味でGENDAはIT化に最適な環境だと考えています。

 

主力事業で最先端のテクノロジーを生かせる面白さ

株式会社GENDA CTO 梶原大輔氏

――GENDAとの出会いはどのようなものでしたか。また、GENDAの人々にお会いになってどのようにお感じになりましたか。

2021年に知人からGENDAを紹介され、会長の片岡尚さんを紹介していただいたことがきっかけです。

片岡会長は、世界一のエンターテインメントのネットワークをつくり、世界中の「楽しさの総量」を増やすことを目指すと、アミューズメント業界での壮大な夢をお持ちでした。会長が描く、僕が見たこともない景色を一緒に見てみたい。そう思って入社を決めました。

 

――ますますCTOの存在が重要視されていく時代になっていくと思いますが、CTOを任されるやりがい・取り組むべきミッションについてご自身ではどのようにお考えでしょうか。

CTOが活躍する企業にはネットサービスを提供しているところが多いのですが、GENDAのビジネスモデルはそれらとは全く異なります。ゲームセンターを中心にさまざまな人が混在することで成り立つ事業の中で、テクノロジーを活かして現場をスムーズに動かすのは、インターネットサービスを立ち上げるのとはまた違う難しさがあり、そこが面白くもあって、僕がやりたいところです。

自社のアセットがたくさんある中で、デジタルを活用してどう合理的にビジネスを回していくか。アミューズメント業界の中で、どう差別化できるかというところに知恵を絞るのが、CTOが取り組むべきミッションだと考えています。

GENDAでは、GENDAグループ全体の情報技術部門、セキュリティー部門を管掌しています。目下時間を割いているのは、全国200店舗以上のゲームセンターを対象としたDX(デジタルトランスフォーメーション)化の推進です。スマートフォンやPC向けのオンラインクレーンゲームのアプリ開発チームのマネジメントや、ゲームセンターにご来店いただいたお客様にGiGOのファンになっていただくための会員アプリの開発なども行っています。グループ全体のデータ収集・蓄積・加工・分析といった流れを一貫して行うデータ分析基盤の構築も急務であり、注力しています。ほかに、M&A先のゲームセンターが独自で動かしていたシステムをGENDAのシステムに統合するためのPMIプロセスの構築も進めています。

 

店舗に張り付き景品補充まで手伝って現場を理解し、ゲームセンターのDX化に取り組む

――DX化の推進については各社さまざまな悩みを抱えていることが多くのビジネス誌で取り上げられています。DX化はどのような工夫のもと進められましたか。

僕はこれまで、アプリやインターネットで事業が成り立つビジネスにばかり携わってきましたが、いつかはリアルビジネスで仕事をしてみたいと思っていました。アミューズメント業界という事業にも新鮮さを感じて、より興味を持ちました。

しかし、入社当初は驚きもありました。特に事業会社が運営するゲームセンターなどの現場で働く人々は、これまでのネットの世界とはまったく違うタイプの人たちばかり。アルバイトから叩き上げの人もいれば、新卒で入社した人もいます。ネットの世界では勤続年数がほんの数年という人が多い中で、20年以上勤めている人がいることも驚きでした。

リアルビジネスは、現場に行かないと本当の課題が見えません。そこで実際に店舗に行って朝から夜までどのようなオペレーションがあるのか見させてもらいました。朝はクレーンゲーム用の景品が配送会社から段ボール山積みで届き、その中身の確認と仕分けに追われ、昼はお客さま対応とゲーム機への景品補充など、夜は閉店後に集金・精算や景品の在庫棚卸と発注業務が続く。そうやって現場の作業を見ることで分かった課題をもとに、解決策を盛り込んだシステムを開発し、現場でテストを繰り返して信頼度を高めています。

 

――IPOや今後の拡大に向けて、CTOが担う役割は大きいものになるのではないかと思います。梶原さんが今描かれている今後の展望についてお聞かせください。

グループ内をいろいろ見てきた中で、事業会社のGENDA GiGO Entertainmentが掲げる、お客様に楽しい場を提供するというビジョン「楽し場創造会社」という言葉が気に入っています。お客様の満足度を上げるために、現場のスタッフは日夜必死に仕事をしています。彼らが余裕を持って仕事ができるよう、テクノロジーで解決してあげたい。

長期的には、テクノロジーを使って、よりお客様をサポートできるようにしていきたいと考えています。現場スタッフやお客様の顔がちゃんと見えるリアルビジネスは、非常に面白い世界です。これからも先端のテクノロジーを駆使して貢献していきたいと考えています。

 

――ありがとうございました。

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