【ミダス財団が見据える未来】ビジネスは社会貢献活動に通じる チャン・バン・ミン理事インタビュー

ミダス財団について紹介する特集の第4回。第3回に引き続き、財団の理事であるハイブリッドテクノロジーズ代表取締役社長CEOのチャン・バン・ミン氏に話を聞きます。「社会貢献活動はビジネスと似ている」と話すミン氏。そこから見えてきた「ミダス財団がやる意義」についても迫ります。
 

 

◆プロフィール

ハイブリッドテクノロジーズ代表取締役社長CEO
チャン・バン・ミン氏

1994年初来日。日系企業ベトナム現地法人の代表、ベトナム情報通信大手の日本法人代表を経て、2016年に日本とベトナムの懸け橋となり、日本のDXを促進する株式会社ハイブリッドテクノロジーズを創業

 

ビジネスパーソンだからこそできることをやる

――どこに学校を建てるべきか、また地域はどんなことに困っているのか。そうした調査はどのように行なっているのでしょうか。

まず最初に、ベトナム政府が公表しているデータを確認します。所得が低いといわれるエリアがベトナムに何千とある中で、特に困りごとを抱えていそうなところをインターネットなどで調べたり別のデータでもらったりして、実際に私たちが視察に出向きます。Na Khoang Elementary School の建設を決定する前も、10〜15カ所ほど訪れました。

現地でヒアリングした結果をミダス財団のメンバー全員に共有し、ディスカッションを重ねてプロジェクトを決定します。私はもっぱら実働部隊といえますが、実はこうした社会貢献活動はビジネスと重なる部分が多いのです。

まずはデータを集めて場所を選びますが、選んだからといって好きなように建てられるわけではない。政府、地域行政との合意形成も必要です。地域の人々にとっては、突然知らない人たちがやってきて学校を作ってあげると言われても、それが実現するのかどうか簡単には信用できない。だから「ミダス財団とは」というところから説明します。

無事にプロジェクトが決定したら、今度は外注先と財団の予算を調整して、工数を考えて値引き交渉も行います。進捗管理も必要で、完成したら検修してセレモニーを行う。やってみると、本当にビジネスの手順となんら変わりがないのです。ケイパビリティと財団としてやるべきことが重なっていると感じます。

――それでも、そこには並大抵ではない努力や苦労があるのだろうと察します。
 

Na Khoang Elementary School を視察した際、生徒たちと撮影した一枚


 

「学問があれば貧困は抜け出せる」
そう信じて突き進む

――ミンさんはご夫妻で財団に深くかかわっていると伺っています。

妻は大手のコンサルティング会社にいたのですが、現在は財団でフルタイムの職員として活動しています。上場後に私がすべての視察に行く時間が取れなくなったため、その点は妻に助けられています。彼女も感謝されることが目的で始めたわけではなかったけれど、実際に現地で「ありがとう」と声をかけられるとやはりうれしいと話しています。ベトナム各地に加え、ブータン、カンボジアでのプロジェクトも始まったことで、我々のモチベーションもさらに上がっています。

ただ、世界中の貧困を断ち切るという目標においては、今進めているアジア各国だけでは不十分です。ミダス財団の圧倒的なスケール感をもって世界中に広げていけば、徐々に貧困の連鎖は解消できるはず。毎年10件ほどのプロジェクトを目指して、これからも力を入れていきます。

――世界各国に広げていくということは、それだけの知見を持ったメンバーが必要ということになりますよね。

アフリカにも学校を作りたいのですが、さすがに私が行くことはできないので、そこには別の実働部隊が必要だと考えています。吉村さんは決して空想では物事を言わない人。まさに今、アフリカに知見を持ったメンバーの協力を得ているところなので、あとはどのタイミングで、どのくらいのコストをかけるかという段階に来ています。

私たちが貧困地帯に学校を作っているのは、学問があれば貧困から抜け出せるから。まさに福沢諭吉の言うとおりです。ただ、その学問も学歴をつけるという意味ではなく、実学だと考えています。学んで実行する。これこそがミダス財団なのです。

――ありがとうございました。

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