「ミダスの支えで、社長として自信がついた」 スプリームシステム 渡部知博代表取締役社長兼CEOインタビュー

カスタマーデータプラットフォーム(CDP)やマーケティグオートメーション(MA)機能を併せ持つソフトウェアであるエンゲージメントデータプラットフォーム(EDP)「aimstar(エイムスター)」を手掛けるスプリームシステム。2021年7月にミダスキャピタルからの投資を受け、第二創業期に入っていた同社が、この10月に経営体制変更という新たな転機を迎えました。渡部知博代表取締役社長兼CEOに、これまでの歩みや今後の意気込み、さらにメンバーとともに目指す未来について聞きました。

◆プロフィール

スプリームシステム株式会社 代表取締役社長兼CEO
渡部知博(わたなべ・ともひろ)氏

2008年株式会社日本総研ソリューションズ(現: 株式会社JSOL)入社。SEとしてWebアプリケーション開発経験を経た後、金融・公共営業部門にてアカウント営業を担当。2012年から2021年まで外資系SaaS企業(Salesforce、Yext)にて中小〜大手企業向け営業および営業責任者として国内マーケット拡大に従事。2022年1月スプリームシステム株式会社に執行役員CRO(Chief Revenue Officer)として参画。同年10月代表取締役社長兼CEOに就任。愛媛県北条市(現・松山市)出身。

 

幼少期から夢見ていた、IT企業への道

――渡部さんはSIerからキャリアをスタートし、外資系SaaS企業を経験するなど一貫してIT業界でキャリアを積まれています。いつ頃から興味を持っていたのでしょうか?

生まれたときから自宅にNEC社のPC-8000シリーズがあり、父親がプログラミングしたインベーダーゲームなどで遊んでいました。また、小学生のときには親にねだって、当時出たばかりのWindows95を買ってもらったこともあります。

一方で、幼少期から長年競泳を続けていて、高校時代には国体やインターハイにも出場するほど頑張っていました。大学進学に関しては特に希望があったわけではなく、得意の運動を生かして受験できること、国公立大学のみという選択肢から、教育学部の保健体育教員を養成する過程に進みました。

ただ、周りが教員や公務員を目指す中で、自分はIT企業に進みたいという考えが強くなっていきました。当時は、ECサイトやインターネットオークションを利用する人が少しずつ増え始めたり、SNSという新しい概念が広がってきたりした時期です。IT、テクノロジーに関与する仕事をしたいと考えるようになり、大学院を卒業して就職する際はIT企業だけを受け、ご縁があった日本総研ソリューションズ(現JSOL)に入社しました。

 

――念願かなって、東京のIT企業での生活がスタートしたのですね。

ところが、営業職として採用されたのに配属されたのはSE。理系学部出身の同期が大半を占める中で、私は「基本技術者試験」という、いわゆる業界の免許証的な試験にも落ちてしまいました。挫折の多い社会人1年目だったと言えます。

ただ、先輩方が辛抱強く教えてくれたおかげで少しずつ知識が増えていき、具体的にはJava言語を用いたプログラミングを毎日実装していました。プログラムは0か1の世界。正解か不正解によって出てくるものが違います。それが如実に表現されるアートのようなものだと感じ、面白さを実感しました。SE経験で得た知識は、その後営業に配属されてからも役立ちました。

入社4年目でSalesforceに転職。Salesforceは今でこそ名の知れた企業ですが、当時はこれからもっと認知を広げていこうという時期。成長企業に身を置いて、自分ももっと力をつけたいという思いで飛び込みました。

 

「一人で戦うな」という上司の言葉で、考え方が変わった

――転職後はどんなキャリアを積まれたのでしょうか。

2020年に転職するまで、約8年間在籍しました。営業として入社し、その後マネージャーにも昇格しましたが、入社当初はかなり苦しい日々でした。年間予算を達成するのに3年間もかかったんです。前職と比べて潜在課題にアプローチするコンサル的な要素が強かったことや、個人に課せられる予算が高く、長時間勤務の割に成果はまったく出ませんでした。ただ、この経験で「コンフォートゾーンを出て行かざるを得ない状況をつくることで、人は成長する」という実感も得ました。

 

――どのようにして、辛い時期を乗り切ったのでしょうか?

周囲の力を借りることを覚えました。私は過去に競泳をやっていた影響で、自分一人で地道に戦うことに美学を感じていました。ただ、大企業に対して自分ができる範囲のことだけをやり続けていても、どうしても限界があります。そんな私を見て、当時の上司が「一人で戦うな。負けるときはみんなで負けよう」と声をかけてくれたんです。営業が受注時期のゴールを決めた上で、プリセールスのメンバーや上司、社外のパートナー企業など、どのタイミングで誰に力を借りたいかを考えてお願いしていく。こうしたコーディネート能力を持つことも、営業としての大事な能力なのだと思い知りました。

ちなみにこのときの上司が、2022年10月からスプリームシステムの社外取締役に就任した道下知良氏。道下さんは今でも私のメンターです。

 

――スプリームシステムと出会った経緯を教えてください。

2021年の8月に、知人経由でミダスキャピタル取締役パートナーでスプリームシステムの現代表取締役会長でもある、寺田修輔さんに引き合わせてもらったのがきっかけです。実はスプリームシステムとは、約10年前に接点がありました。寺田さんから話を聞いたころは、パッケージ型ビジネスからSaaS型へとビジネスモデルを転換している時期。主力製品であるaimstarにも大きな魅力を感じました。最強のプロダクトを有しているこの会社に経営メンバーとして入ることで、会社も自分ももっと伸ばせるのではないかと考えました。

また、ミダスキャピタルのビジョンに共感したのも転職を決意した大きな理由です。私は外資系IT企業で約10年のキャリアがありますが、思えばずっと「今期、来期をどうするか」という短年のビジネスゴールについて考えていました。でもミダスキャピタルは、5年後、10年後、20年後という超長期軸でビジネスを見据えている。さらに自己利益ではなく、社会にも還元することを公言しているところに、心を大きく動かされました。自分の年齢を考えると、この先20年はビジネスパーソンとして核になる時期。その20年間をミダスキャピタルと共に歩いていけたら。そう考えました。

 

不安を解消してくれた、ミダスキャピタルのつながり

――入社時には社長就任まで決定していたのでしょうか。

いえ、それは全く想定はしていませんでした。入社して数カ月後、たしか春ごろに前社長退任の意向を受けて、就任が決まりました。ちょうど入社後のいくつかの難しい商談を乗り切った時期。会社も事業も大きく成長するだろうという確信が生まれていたので、迷いはありませんでした。ただ、これまでのキャリアは営業畑が中心だったので、不安もありました。

そんな不安を解消してくれたのが、ミダスキャピタル投資先企業独特の横のつながりでした。ミダスキャピタルの投資先企業の経営陣には、優れた起業家や実業家、テクノロジー人材がそろっています。そうした方々からハイレベルなレビューやアドバイスをもらえることは大きなメリットだと感じました。また、各社の社長陣との交流が活発なので、プライベートな話を通してコーチングもしてもらっています。フランクに相談できる関係が身近にあることは、私のような新人経営者にとってはかなりの安心材料になりました。

リファラル採用の支援が活発なところも、ミダスキャピタルから投資を受けることの強み。スプリームシステム経営メンバー5人のうち、4人がリファラル採用です。ミダスキャピタルの紹介で、優秀で信頼できるメンバーが自然と集まってくるように感じます。

 

――社長としてどのようなことにやりがいを感じていますか?

メンバーに恵まれていると日々実感しています。真面目でプロ志向で、職人気質の人が多い。そのうえ、仲間への協力を惜しまない優しさもあります。創業時からのメンバーも大活躍してくれている中、今は新しい風を入れながら第二創業をしている時期。難しさも感じますが、やりがいがあります。

 

――コンピュータへの関心からIT企業に入り、そして社長へ。今も興味は尽きないのでしょうか。

新しいものが出たら必ず買って体験しています。テクノロジー関係も興味を持って勉強しています。月並みですが、CRMという領域に10年以上関わった上で良いプロダクトを生み出し続けていくことは会社として必要なことだと確信しています。しかしながら、「テクノロジーを使いこなせる人がどこでもいるわけではない」という問題は日本全体にあると言えます。だから私たちも、プロダクトをリリースして終わるのではなく、お客さまの伴走支援も責任を持って進めていきます。その両軸を大切にしたいんです。その上で、ミッションとして掲げている「Client Growth First」を持続的に実現していきます。

スプリームシステムのコーポレートバリューのトップには、「カスタマーサクセス」を掲げていますが、本気になってお客様の成長・成功に向けて動いてくれる人にこれからも入ってきてほしいと考えています。

 

――ありがとうございました。

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