創業7年で58件のM&A GENDA31歳常務取締役CSOが語るM&Aの舞台裏

国内のスタートアップでは、過去に類を見ないスピードで売上高1,000億円を達成し、急成長を遂げている株式会社GENDA。エンターテイメント企業であるGENDAの大きな成長要因は、連続的なM&A。創業7年で58件のM&A(2025年10月時点)を発表してきました。

このM&A実務の指揮をとるのが、常務取締役CSOの羽原 康平さんです。2019年に入社後、業務フローの仕組みをゼロから作り上げ、組織の急成長をサポート。ときに壁に直面しながらも、推進力とメンバーを巻き込む力を武器に、プレーヤーからマネジメントへと視野を広げてきました。

羽原さんと、代表取締役社長CEOの片岡尚さんに、セガ エンタテインメントのM&Aの舞台裏や、スピードと情熱を重視するGENDAならではの企業文化の魅力を聞きました。

◆プロフィール

株式会社GENDA 常務取締役CSO
羽原康平(はばら・こうへい)氏

神戸大学経済学部経済学科卒。大学在学中に公認会計士試験に合格。2016年2月、有限責任あずさ監査法人に入社。2017年4月、PwCアドバイザリー合同会社に入社し、M&Aアドバイザリー業務に従事。2019年9月、株式会社GENDA入社。2021年8月、執行役員、2023年9月、CSOに就任。2024年4月より取締役CSO、2025年4月より現職。

株式会社GENDA 代表取締役社長CEO
片岡尚(かたおか・なお)氏

慶應義塾大学経済学部卒。1995年、ジャスコ株式会社(現・イオン株式会社)入社。2004年、株式会社イオンファンタジーに転籍し、2008年、同社取締役、2012年、常務取締役、2013年、代表取締役社長に就任。2017年よりイオンエンターテイメント株式会社代表取締役社長を兼務。2018年5月、株式会社GENDAを設立。2019年9月より代表取締役会長、2023年12月、ギャガ株式会社代表取締役会長に就任(現任)。2025年4月より現職。

友人の一言がきっかけで、公認会計士を目指す

――はじめに、羽原さんのGENDAでの仕事内容について教えてください。

羽原
GENDAのCSOとして、経営戦略の立案及び実行を担当しています。現在の業務はM&A関連が中心で、候補となる企業を探索・提案し、M&Aを実行してグループに迎え入れる「戦略投資部」、短期間でグループに加わった会社が必要な機能やガバナンス体制を整えていく「グループ経営管理部」、そして上場企業として対外的に公表する予算を確実に達成するため、実態に即した見通しを立てていく「コントロール部」の役割を担う3つの部署を統括しています。

――大学生のときはどのような生活を送っていましたか?

羽原
2013年に大学へ入りましたが、受験で燃え尽きてしまい、半年ほどサークルの仲間と遊んで過ごしていました。ある日、友人が「税理士を目指す」と突然宣言し、遊ぶ相手がいなくなってしまったんです。暇を持て余して税理士について調べていくうちに、公認会計士という仕事を知り予備校に通い始めました。大学1年の秋ごろです。

大学3年の夏に公認会計士試験に合格し、KPMGあずさ監査法人 大阪事務所に非常勤で入り、実務経験を積みました。大手メーカーなどの会計監査に携わりましたが、決算書を作ったこともない自分が、監査をすることにどこか違和感があったんです。「若いうちはフロントランナーとして経験を積みたい」と1年弱で退職しました。

退職したのは大学4年で私の代の就職活動期間は終わっていました。ですが、当時たまたまPwCアドバイザリー合同会社が通年募集をしていたので応募したところ、縁あって入社できました。

当時は、新卒でM&Aアドバイザリー業務に入る機会は限られていて、貴重なチャンスでした。

「世界一のエンタメ企業」を目指すビジョンに魅かれ、GENDAへ

――PwCアドバイザリー時代にはどのような経験を積みましたか。

羽原
入社後は約2年半、FAS(ファイナンシャル&アドバイザリーサービス)部門で勤務し、財務デューデリジェンス、バリエーション、PPAなどを中心にM&Aに関する幅広い業務に携わりました。

振り返ると、ファンドによるM&A案件、事業会社の成長戦略に基づくM&A、さらには大手企業のカーブアウト案件など、多種多様なM&A案件に関わりました。この経験からM&Aが経営戦略の重要な選択肢であることを実感しました。未経験からのスタートだったので、学ぶことばかりの日々でしたが、常に能動的に動いて、多くのことを吸収できるように努めていましたね。

こうした仕事に関わってきたことで、業務の流れや実務感覚を十分に理解し、練度として約80〜85%のスキルを磨くことができたと思っています。当初はこのまま役職を上げていくキャリアも良いとは思っていましたが、10年、20年かけて練度100%を目指すために差分を埋めていくのは、どうしても自分に合わないと思うようになったんです。M&Aの経験を一通り経験した時点で、再びキャリアチェンジを考え始めました。

――キャリアチェンジ先として、GENDAを選んだ理由はなんでしょうか。

羽原
当時GENDAの取締役CFOだった前職の元上司から、「まだ管理部門も何もない会社だけど、一緒に管理部門の立ち上げをしないか」と声を掛けられたのがきっかけです。

初めて片岡さんと会ったときに「世界一のエンタメ企業をつくる」と話していて、人生を賭けて事業にコミットしている熱量が伝わってきたんです。

これまで一緒に働いてきた人たちは、論理的かつ客観的なタイプが多く、片岡さんのようなゼロから組織を作り上げる事業家に出会う機会がなかったので、魅力を感じました。試行錯誤を重ねながら景色を変えていく過程に携われることは、とても新鮮で「楽しそうだ」と直感し、2019年9月にGENDAに入社しました。

片岡
PwCの関係者から、毎年200人ほどが入社するPwCの新入社員を数年単位で見ても、羽原さんは図抜けて優秀な人材と聞いていました。仕事ぶりを見て本当だなと。

――どのような点で傑出した人材と感じましたか。

片岡
経理部長として入社してから、手作業だった経費精算や請求書発行を外部システムを導入し、あっという間に経理の業務フローを刷新してくれました。

「24歳なのに、何でこんなに仕事ができるんだろう」と驚かされました。僕が大学を卒業して2年目の頃なんて、本当に何もできなかったので、そのギャップに衝撃を受けたのを今でもよく覚えています。

コロナ禍の2020年、GENDAはセガのゲームセンター事業をM&Aしました。当時、創業3年目で数十人規模だったGENDAが、従業員約4,000人を擁するセガ エンタテインメントをM&Aすることは大きな挑戦でした。

羽原さんはデューデリジェンスから契約締結までの実務を短期間でやりきってくれました。GENDAのIPO準備とも並行していたので相当大変だったと思います。やり抜く力と柔軟さを持って、前向きな姿勢で取り組んでいたのは、一緒に仕事をしていてすごく頼りになりましたし、傑出した人材だと思いましたね。

大型M&Aの舞台裏「エンタメ業界で挑戦する仲間」

――セガ エンタテインメントの大型M&Aではどんな大変さがありましたか。

羽原
前職ではアドバイザーとしてM&Aに関わっていましたが、GENDAに入ってからは当事者としてM&Aを推進する立場になりました。リスクを洗い出し、対応策を考えて交渉に臨んで、最終的に意思決定をして実行する。アドバイザーの場合は、案件が成立すれば一区切りです。ですが、GENDAではむしろここからで、経営メンバーの一員として、一緒に未来を創っていくことを求められます。

当時のGENDAは売上高数億円で、従業員も20〜30人ほどの規模でした。一方、セガ エンタテインメントは年商400億円で従業員もパート・アルバイトを含めると4,000人規模。大きな組織をグループに迎え入れることから、かなりの緊張感でM&Aを進めていました。

――大型M&Aを進める中で意識したことはありますか。

羽原
コロナ禍で世の中が先行き不透明な状況で、大規模な会社を受け入れて本当に支え切れるのか。不安になるときもありましたが、やり抜くという信念で必死に取り組んでいた記憶があります。

M&Aに向けて話し合いを進めていく際は、「買う側・買われる側」という関係ではなく「これから一緒にエンタメ業界の中心で挑戦していく仲間」という信頼関係を築くことを大切にしていました。

こちらのやり方を一方的に押し付けるのではなく、セガ エンタテインメントとしてどうしていきたいのかを丁寧に聞き取り、その意向を尊重しながら、実現可能性を一緒に模索するために対話を重ねていったのです。

当時は、セガ エンタテインメントのM&Aを進めながら、GENDAのIPO準備も同時に進めていたので、忙しかったですね。

“景色が一変する瞬間”に立ち会える

――連続的なM&Aがあるからこそ、自身の成長機会も多くあると思います。自身を振り返ってどんなところが成長しましたか。

羽原
前職ではルールやフローが細かく整備されていましたが、GENDAでは何も決まっていない状態からゼロイチで仕組みを作り上げていく必要があります。自分でやり方を考えたり、仲間を集めたり、組織マネジメントをしたりと全てが初めての経験でしたが、試行錯誤して取り組み、大きく成長できたと思います。

他方、時間も体力も有限で「自分ひとりでできることには限界がある」と気づきました。スピードを重視すれば自分で全てやった方が早い場面もありますが、長い目で見て、より大きな目標に到達するためには、自分ひとりでは到底たどり着けません。

優秀な仲間を集め、チームとして力を合わせて進む必要があります。そのような経験を通じて、プレーヤーからマネジメントへと意識が大きく変わったと思っています。

――大きく成長されてきた羽原さんですが、振り返って昔の自分にアドバイスをしたいことはありますか。

羽原
「英語をもっと勉強して」と伝えたいです。メールやドキュメント作成といったテキストコミュニケーションはAIで簡単にできる時代です。でも、外国人と本当に仲良くなるためには、やはり英語を話せることが大事で、それができないと深い関係を築くのは難しい。学生時代から英語を真剣に学んでおけばよかったと思います。

――最後に、GENDAに興味のある方に向けてメッセージをお願いします。

羽原
ミダスキャピタルは「企業群の時価総額を長期的に100兆円」という大きな目標を掲げ、GENDAは「世界一のエンタメ企業」を目指しています。

短期間で急成長している会社で、目標に向かって成長していく過程の中で、新しい仲間が増えたり、新規事業を立ち上げたり、海外へ進出したりと、景色が変わる瞬間を感じながら、働けるのは大きな魅力です。こうした環境の変化や成長を楽しめる人であれば、面白い経験になるはずです。

片岡
GENDAは、毎年160%前後の高い成長を目指しており、1年経つごとに全く新しい景色が広がるのが特徴で、成長速度が早いからこそ新しい挑戦の機会も増えていきます。

私たちが求める人材は単に優秀なだけでなく、仕事への熱意を持ち、性格も誠実で、仲間と共に目標を達成しようとする人です。互いに尊敬し合える仲間たちと一緒に、面白いことに挑戦していける人にぜひ加わってほしいと思っています。

また、カルチャーフィットという面ではGENDAバリューも重要視しています。なかでも「Speed is King」は最も大事で、これは完璧を目指すよりも「まずは80点まで仕上げたら次に進む」というスピード感が非常に大切だというのを示しています。加えて、「Enjoy our Journey」というバリューも大切で、スピードを重視しつつ、仲間と一緒に仕事を楽しむ姿勢がGENDAで活躍するためには不可欠と考えています。

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