SaaS企業へと変貌を遂げるスプリームシステム。「第二創業期」に懸ける思いとは

カスタマーデータプラットフォーム(CDP)やマーケティングオートメーション(MA)機能を持つ、国内最高品質のデータマーケティングツール「Aimstar(エイムスター)」の開発・販売を行うスプリームシステム。CDPやMAという言葉が一般的ではない2000年代初頭から、顧客の売上拡大のためのソリューションを提供してきた企業だ。同社は2021年7月からミダスキャピタルの出資を受け、プロダクト優位性を活かしながら新たなビジネスモデルに転換し、第二創業期を迎えようとしている。同社が目指す未来について、創業者で代表取締役の佐久間卓哉氏と、Aimstar Cloud事業部長の青木歩人氏に話を聞いた。

創業者で代表取締役の佐久間卓哉氏(右)と、Aimstar Cloud事業部長の青木歩人氏(左)

創業者で代表取締役の佐久間卓哉氏(右)と、Aimstar Cloud事業部長の青木歩人氏(左)

 

国内最高品質のMAツールを提供

――まずは、スプリームシステムの事業内容を教えてください。

佐久間 ネット通販や総合通販、ECサイトなど、BtoC向けの一般消費財やサービス販売を行っている会社向けにCDPやMA機能を持つデータマーケティングツール「Aimstar(エイムスター)」の開発・販売をしています。

このAimstarは、分析からOne to Oneアプローチまで、販売促進を行うために必要な業務がシームレスにつながっています。それぞれの顧客向けに最適な商品・サービスを、最適なタイミングで、最適な販売チャネルで売上の拡大を目指すための業務プロセスを自動化します。

Aimstarは、高機能かつ国内最高品質の製品として、大企業向け高価格帯CDP、MAツール市場で高いシェアを得ています。総合通販トップ10(※)のうち、40%がAimstarユーザーです。通販業界最大手の一角のジュピターショップチャンネル様、「BUYMA」を運営する上場企業のエニグモ様、三大出版社の集英社様などに導入いただいています。

※第71回通販・通教売上高ランキング(通販新聞社)から主力商品が総合の企業

佐久間卓哉 氏

――Aimstarが大手企業に評価されているポイントや、他社のMAツールと比べた強みはどのような点ですか。

佐久間 単に販売促進したり業務を自動化したりするだけでなく、最適な商品・サービス、最適なタイミング、最適な販売チャネルを検出するための分析やターゲティングにも力を入れていることです。

当社は2000年の創業で、まだビッグデータやMAのマーケットが開花していない2001年にAimstarをローンチしました。20年という長い歴史の分析情報がたくさん蓄積されているので、どの機能を取っても他社対比精度が高いのです。

例えば、「男性・女性や年齢別のセグメントに分け、販促メールを送る」という簡単で単純なターゲティングはどの社でも行っていますが、それでは差別化できませんよね。私たちは、Webのアクセスログによる行動イベントや、購買の推移や購買する傾向の変化なども長きにわたり分析してきた知見があります。「この人にタイムリーにレコメンドを送る」というターゲティングと分析が必要な機能は、他社よりも圧倒的に知識も経験値もあります。

このような分析とターゲティングの深さを評価していただき、Aimstarは“玄人好み”なツールとして好評いただいています。一方、高機能であるがゆえに操作が難しく、販促マーケティングの高いノウハウを持っている人たちしか使いこなせないという欠点がありました。その欠点をSaaS化により克服するべく、新しいAimstarを展開しようとしています。

 

SaaSビジネス参入で第二創業期へ

――SaaSビジネスへの参入について教えてください。

青木 Aimstarは、エンタープライズのお客様には気に入られて長く使っていただける一方で、ミドル・スモール層の企業様は多機能で高価格帯であるがゆえに、導入までのハードルが高いという課題がありました。せっかく良いプロダクトを持っているので、できるだけ多くの企業様に導入していただくために、今回、SaaS化へ大きく舵を切ろうとしています。

これまでは、エンタープライズのお客様ごとにカスタマイズをして、時間をかけて導入するというプロセスを踏んでいました。SaaS化により、お客様に提供しやすい形にすることでユーザー様の満足度を高めていく狙いです。このように、ビジネスモデルを大きくチェンジさせようとしている真っ只中で、まさに会社の第二創業期として再スタートを切ったところです。SaaS版はただいま急ピッチで準備を進めており、来春を目途に初版リリースを予定しています。

創業者で代表取締役の佐久間卓哉氏と、Aimstar Cloud事業部長の青木歩人氏

 

ミダスの魅力はスピーディな人材支援

――第二創業期に入るにあたり、ミダスファンドからの出資を受けられています。ミダスキャピタルを知った最初のきっかけを教えてください。

佐久間 当社は、元々は技術志向の会社であり、難しいテーマに対しても研究開発を行い挑戦してきました。また、決算は基本的には黒字でやって来られていたので、VCさんから出資を得たものの比率は低く抑えていただいて自力で20年間経営してきました。ところが、社長である私自身の経営管理面でのノウハウが乏しく、我流で経営してきた結果、IPOのスケジュールやバリュエーションが想定していたようには進みませんでした。

この事実を振り返ると、経営のプロ人材が必要であったにもかかわらず、そのような人材を社内に取り込めなかったことが反省点だったと考えています。また、スプリームシステムの知名度の低さも課題でした。私自身の年齢も高くなってきたこともあり、経営のプロ人材やより高度な技術を持った製品開発人員を社内に取り込むことを優先しようとひと区切りをつけたのです。

そのような人材や採用のための資金を得るために、プライベートエクイティファンドなどに経営参画してもらうことを決意。複数のファンドや事業会社とお会いした中のひとつが、ミダスキャピタルでした。

ミダスキャピタルの特徴は、資本だけではなく経営人材の投入や採用支援、テクノロジー支援を約束してくれた点です。そこは他のファンドや事業会社とは全く違うところでした。そこで、ミダスキャピタルに株式の過半数を譲渡し、第二創業期に入る決意をしました。

 

――ミダスキャピタルから支援を受けることのメリットはありますか。

佐久間 資金はもちろんのこと、契約のクロージング直後から、約束通りミダスキャピタルの優秀な経営のプロ人材2人が常駐・半常駐ですぐに支援に入ってくれたことです。実際に私ができなかったマネジメントの部分に早速着手し、真剣に会社の成長のための仕事をしてくれています。また、人材紹介もスピーディーで、ミダスキャピタルから技術顧問2人が参画してくれましたし、契約からわずか1カ月ほどで内定が決まった方もいます。そのスピード感には驚きを持っています。

創業者で代表取締役の佐久間卓哉氏と、Aimstar Cloud事業部長の青木歩人氏

 

お客様からのフィードバックが製品に反映される達成感を味わえる

――採用も強化しているとのことですが、現在募集しているのはどのようなポジションですか。

青木 SaaSの経験がある営業やカスタマーサクセス(CS)です。Aimstarのパッケージ版からSaaS版へと舵を切ることでビジネスモデルが大きく変わります。月次ストック収益(MRR)を増やすことがビジネス成功の鍵を握るという意味で、SaaSの営業ができる人員拡充が必至です。また、解約を防止してユーザー満足度を高めるためには、CSの役割も重要だと考えています。このようなチームのリーダーやコアを担える人材を採用していくことで、新しい組織を立ち上げていければと考えます。

加えて、SaaS化にあたっては様々なプロダクトの開発も必要です。各領域のエキスパートやリーダーになれる方も急ピッチで採用し、より強固なエンジニアの組織づくりにも力を入れています。

 

――そのようなバックグラウンドを持つ方々がスプリームシステムに入社することで、どのような経験が得られますか。また、他社にはない独自の強みはありますか。

青木 まさに今、SaaSビジネスを立ち上げようとしているタイミングでジョインできる企業は、そう多くはないのではないでしょうか。また、当社は約20年積み上げてきたAimstarという素晴らしいプロダクトがあります。このAimstarを大きな軸に、新しいプロダクトやサービスを生み出していくことができることも強みです。

外資系の競合他社では、プロダクトの改善をするにしても、海外の本社にフィードバックをするため「改善されるか否かは本社の判断次第」という傾向があります。当社は、Aimstarを一から自社で開発をして作り込んできました。そのやり方は今後も変えることはありません。営業やCSがお客様と相対して感じた「お客様の役に立つにはもっとこういう機能が必要」「他社では提供できないこのソリューションができれば受注に繋がる」というフィードバックは、次々にAimstarに吸収されます。営業やCSの一人一人の日々の貢献が、確実にプロダクトに形になっていくというプロセスを実感できるのは、他の会社ではなかなか得られないエクサイティングなことだと思います。

SaaSビジネスという新しい分野に進出していく中で、個人に任される役割の大きさや得られる経験値、達成感はひとしおです。「立ち上げから一緒に汗を流したい」という方には、ぜひおすすめしたい環境です。

青木歩人 氏

――青木さんご自身が新卒入社とのこと。入社を決めた理由はどのようなところにありましたか。

青木 私は2013年入社で、8年目を迎えます。当時、IT業界でエンジニアとして働ける会社を探していて出会ったのがスプリームシステムでした。客先常駐開発がメインとなる企業が多い中、自社開発のプロダクトを持つことで会社としてのビジネスが成り立っているところに魅力に感じました。

 

――今後は、新卒採用にも力を入れていくのでしょうか。

青木 今後は人員の補強・増強の計画に合わせて、新卒採用にも力を入れていく予定です。

 

データマーケティングツールのシェアナンバーワンを目指す

――最後に、今後の展望を教えてください。

青木 これまで何度もお話してきましたが、SaaSという新しいビジネスモデルにシフトし、大きくビジネスを成長させていこうとしています。CDPやMAといったデータマーケティングツールの競合他社は複数ありますが、目標はAimstarを国内のデータマーケティングツールのシェアナンバーワンにすること。それを達成するための手段としてIPOも目指し、社員一丸となって事業を推進していきます。

AimstarのSaaS化により、プロダクトにさらに磨きをかけて売上を拡大していくことはもちろん重要ですが、「顧客と向き合い、自らプロダクトを作り上げ、改善し続けていく」という姿勢は、会社として大切に守りつづけていきたいです。第二創業期を迎えるにあたって、当社は2021年9月にミッション、ビジョン、バリューを一新しました。新たなビジョンは「データとインサイトを通じ、新たな価値と発見を届ける」、ミッションは「想いと未来を実現するプロダクトを造り続ける」。テクノロジー領域で勝負を続けていく意気込みと、ものづくりへの真摯な気持ちを込めました。

Aimstarというサービスの枠にとらわれずに、さらにはCDPやMAという限られた領域からも出ていき、データを活用した分野など当社にしかできない新たな事業領域にまでゆくゆくは拡大させていきたいと考えています。それにより、広く社会や世の中に貢献していく会社にしていきたいと思っています。

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