インバウンド事業のナンバーワン企業を目指す 羅針盤 佐々木文人代表取締役インタビュー

日本の観光をリードしたい。そんな思いから創業された羅針盤。代表取締役を務める佐々木文人氏は、世界一周旅行をきっかけに旅行業での起業を決め、ツアー事業で成功を収めていました。そんな佐々木氏が新たな挑戦を始めた経緯、そして羅針盤が目指す未来について聞きました。

◆プロフィール

株式会社羅針盤 代表取締役
佐々木文人(ささき ふみと)

東京大学経済学部卒業。株式会社損害保険ジャパンを経て、ボストン・コンサルティング・グループへ。在職中、新規事業開発・営業改革のプロジェクトに従事。企業の売上拡大・業務効率化に貢献。結婚後退職し、1年間の世界一周新婚旅行を経て2014年に株式会社ノットワールドを創業。2015年より、東京で外国人向けのツアーを企画・催行開始。4年連続でtripadvisorのエクセレンス認証を獲得。2023年合併に伴い株式会社羅針盤代表取締役に就任。

「仲間と一緒に起業したい」
漠然とした思いが、世界一周旅行をきっかけに形になった

――保険業界からコンサルを経て、起業されています。観光業に従事しようと思ったきっかけはどんなことだったのでしょうか。

高校時代は部活や課外活動に熱中し、仲間と何かを成し遂げる楽しさを実感しました。「いつか仲間たちと一緒に起業したい」という思いは持っていたものの、具体的に何をやりたいまでは明確になっておらず、まずはビジネスの経験を積もうと思って就職をしました。
新卒で入った損保ジャパンではビジネスパーソンの基礎を学びました。仕事には満足していたものの、将来やりたいことに近づけていけているかと考えたとき、もっと世界を広げる必要があると感じて転職を決意しました。

ボストンコンサルティンググループは問題解決や汎用的なスキルを身につけるのにはとてもいい環境でした。しかし、順調にキャリアを積む中で「人生の中で1年くらい、仕事を離れるのもいい経験になるかもしれない」と考えるようになりました。

――なぜそう思われたのでしょうか。

2歳上の兄が高校時代に留学を経験したので、私も親に留学を勧められましたが、高校生活が楽しくて断っていたという過去がありました。その選択は間違ってはいなかったけれど、振り返れば海外での長期滞在経験がなかったのです。

コンサルティング業界にいたのでMBAを取るために留学するという手もありましたが、「周りのみんなと同じでは面白くない」とも感じました。ちょうど結婚しようとしていたタイミングだったので、いっそ退職して、夫婦2人で1年間、世界一周旅行してみるのも面白いかもしれない。
そう思い立って、約1年間かけて36の国と地域を回りました。2013年のことです。

夫婦2人で……と言いながら、実はそのうちの3カ月くらいをほぼ一緒に過ごしていた友人がいました。その後、ノットワールドを一緒に創業することになった河野有(現・羅針盤取締役)です。河野は中高大の同級生で、社会人になっても週1回は会う、気のおけない友人でした。
共同で創業することを見据えて話をしていた際に、たまたま河野も私たちと同じタイミングで、当時勤めていた会社を辞めて海外を周る計画をしていたことを知りました。

いくつかの国で合流して過ごすうちに、私も河野も観光業の可能性に気づきました。帰国したら観光業をやろうと決意したのも、その旅の最中です。

――どのような点に可能性を感じられたのでしょうか。

旅先ではさまざまな人に出会いますが、誰と出会うかによってその国の印象が変わるのが面白いと思いました。日本に来たいと言ってくれる人も多かったのですが、自分たちが観光業に関わることでもっと日本を楽しんでもらうことができるんじゃないかと思うようになりました。

また、2013年当時はサムスン電子など、韓国系企業の看板を世界各地で見かけ、勢いを感じました。ひと昔前は、ソニーがこの立場だったはず。そう思うと、日本企業の力が弱くなっていると痛感しました。観光業で世界中から人を集めることが日本の経済成長にもつながり、かつ、日本のグローバル化にもつながるかもしれない。そう思って、帰国後の2014年2月にノットワールドを創業しました。

2015年1月にツアー事業をスタートし、2019年までインバウンド市場の成長に伴って順調に伸びて行きました。世界最大の旅行クチコミサイト「トリップアドバイザー」でも評価が高く、事業としては好調といえましたが、その一方でどうやったら二次関数的に成長するのだろうかと考え始めてもいました。

旅行業界を「憧れの職業」にしたい

――2022年12月、ミダスキャピタルが羅針盤の前身となるインバウンドコンソーシアムを設立。その後、23年4月に社名を現在の羅針盤に変更し、佐々木さんが代表取締役に就任されました。8月にノットワールド、10月にエアトリステイと合併しています。

吉村さんには以前から信頼を置いていましたが、ミダスキャピタルとして目指しているビジョンや世界観、さらに財団を通じて社会課題の解決に貢献しているところにも共感し、参画を決めました。ミダスからの採用支援にはかなり助けられています。
旅行業界はまだ旧体制で、いまだにファックスでやりとりするといった習慣も残っています。テック面の改善が課題に感じていましたが、優れた人材を紹介してもらい、年内にも2人ジョインすることが決まっています。
そのほか、経営の面での支援も手厚く、ミダス企業群の他の経営者からも的確なアドバイスをもらっています。

――ミダスキャピタルの支援の厚さについては、話を聞いた投資先企業の方は必ず口にされています。

ミダスと関わることで、「武器」が増えたような気がします。また、合併を経て社風が良い方向に変わったとも感じています。この10年間、ずっと旅行業界の中だけにいましたが、ミダス企業群の経営陣と情報交換をするだけで視座が上がる。考え方が変わるのです。

――今後の展望について教えてください。

一つのマイルストーンは3年後の上場ですが、これはゴールではなくスタート地点です。目指すのは日本の観光をリードすること。そのためにも、上場による知名度と信頼の獲得は大事な要素です。
さらに、M&Aなども含めて各事業でインパクトを出し続けていきたいです。

インバウンドは可能性の大きい領域。日本経済には必要不可欠な要素ですが、観光業界は収益性が低いという課題もあります。低収益性によって、低賃金になってしまうと労働力不足にもなりますし、働く人も将来を描きづらくなってしまいます。私たちは、観光事業が憧れの職業になる世界を目指して行きたいのです。海外から来た人に、どれだけ日本から楽しい思い出を持ち帰ってもらえるか。旅行に対しての情熱や愛を持って、一生懸命取り組む人と一緒に働いていきたいです。

――来てくれた人を楽しませたいという思い、そして自分も仕事を楽しむという思い。どちらも重要ですね。

羅針盤は3社が合併してできた新しい企業なので、これからみんなでカルチャーをつくっていける環境でもあります。好奇心旺盛な人ならきっと楽しんでもらえると思います。事業部によって求められるスキルが違うので、どんな人にも活躍の場所があります。一緒に新しい景色を見に行きましょう。

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