インターンがM&A後のPMIに抜擢のワケ GROWTH VERSEが求めるAI時代のエンジニア

「データ×AI」を活用したAI SaaSプロダクトを展開し、企業の成長力を最大化させる株式会社GROWTH VERSE(以下、GV)。2025年7月にM&Aした、自動音声応答(IVR)サービスの電話放送局のPMI(M&A成立後の統合プロセス)に関わっているのがGVインターンの渡辺 健太さんです。

インターンという立場ながら、重要なポジションに抜擢された理由や、仕事への取り組み方、成長機会のある環境で働く意義について渡辺さんと代表取締役会長 兼 CTOの南野 充則さんに聞きました。

◆プロフィール

株式会社GROWTH VERSE 代表取締役会長 兼 CTO
日本ディープラーニング協会理事
南野 充則(なんの・みつのり)氏

東京大学工学部卒。大学在学中にヘルスケアスタートアップ、株式会社MEDICAおよびCDSystem株式会社を創業。東京大学在籍中に、北京大学で開催されたスマートグリッド分野における国際学会で世界一の座を争い、「BEST STUDENT AWARD」を受賞する。2017年、ディープラーニングを中心とする技術による日本の産業競争力の向上を目指す団体、「日本ディープラーニング協会」最年少理事に就任。2018年9月にFiNC Technologies代表取締役CTOに就任。2024年1月株式会社GROWTH VERSE代表取締役会長 兼 CTOに就任。2025年7月より現職。

株式会社GROWTH VERSE インターン
渡辺 健太(わたなべ・けんた)氏

東京大学大学院情報理工学系研究科電子情報学専攻。エンジニアリングサークルUTTCにて、開発プロジェクト2件のリーダーを担当。2023年3月からインターン。

UTTCのカリキュラムでスキルを磨く

――はじめに、渡辺さんの経歴やインターン先にGVを選んだ理由を教えてください。

渡辺
大学1、2年生の頃は物理に興味があり、量子コンピューターの研究をやりたいと思っていたのですが、進学選択の直前に偶然YouTubeで「AIとゲームを作る」という動画を見かけたんです。そこで実際にハンズオンで試してみたところ、プログラミングの面白さを感じて、エンジニアリングに興味を持ち始めました。

その後、友人の紹介でミダスキャピタルが協賛する、東京大学発のソフトウェアエンジニアサークル「UTTC(UTokyo Tech Club)」に所属することになったのですが、UTTCのカリキュラムは正直難しくて、何度も挫折しそうになりました。それでもどう調べるか、人に頼るかといったスキルを磨くことができましたし、サークル内のサポートも非常に手厚かったので、そうした経験が今の自分にしっかり活きていると感じています。

カリキュラムを終え、サークル内の定期ハッカソンを終えたタイミングで、先に友人がGVでインターンとして働いていたこと、今後伸びる領域だと感じていたこともあり、2023年3月にインターンとしてジョインすることになりました。

最初はAPI構築などの簡単な機能や小さなタスクの実装から始め、次第にバグ修正を任されるようになりました。最終的にはマーケティングAI SaaS「AIMSTAR(エイムスター)」の中の大きな機能の一つを、設計段階から実装まで一貫して担当するようになり、業務の幅も広がっていきましたね。

――今はM&Aした電話放送局のPMIに携わっています。具体的に取り組んでいる内容を聞かせてください。

渡辺
エンジニア領域のPMIで大事なのは、双方がこれまで使ってきた異なるツールを、効率的なものに統一していくことです。プロジェクトの進め方も会社や文化によって違いがあるので、しっかり擦り合わせ、M&A先のエンジニアが無理なく受け入れられる形に調整していくことを重要視しながら取り組んでいます。

今回のプロジェクトは、クライアントが近くにいることや、ゼロイチで作るところがこれまでとの大きな違いです。未経験の業務も多いため、日々キャッチアップしながらプロジェクトを進めています。

このほか、電話放送局が受注した案件にも携わっています。クライアント対応は社員の方が行っていますが、そこから上がってくる要望をもとに機能を実装し、デプロイからリリースまでを担当しています。

南野
電話放送局のM&Aは、GVにとって「会社の景色が変わるM&Aディール」でした。前身を含めると47年の歴史があり、電話領域で長くビジネスをやっておられ、お客さまが延べ1500社以上いらっしゃいます。今まさにAIによるイノベーションが起きている音声領域の事業です。

渡辺さんは、電話放送局が約20年運用してきたプロダクトにAIを組み込み、バリューアップを図っていくための開発を担当しています。まさに「会社の景色を変えるプロダクトづくり」です。

これまでは、既に設計されたプロダクトに機能を追加する形が中心でしたが、今回に関しては既存プロダクトに対して、AIを導入することにチャレンジしています。

良い打席に立つ機会こそ成長の鍵

――インターンがPMIに関わるのは珍しい印象です。理由は何だったのですか。

南野
大きいのは渡辺さんの実力があり、設計力や実装力に優れている点です。プロダクトの主要機能は、テックリードを担う正社員が担当することが多いのですが、渡辺さんはすでにその主要機能を何度も開発してきました。しかも、学業と両立しながら高いレベルで実装を進めています。

最後までプロジェクトをやり切る責任感が強いのも抜擢の理由です。開発に携わっている方なら分かっていただけると思いますが、90%から100%に仕上げる最後の10%は、バグの修正や品質向上など最も大変な工程です。渡辺さんはしっかりと完遂した実績があります。

渡辺さんはすでに社会人レベルを超える実力を持っています。実際、GVでも主要機能のリーダーを務められる人は上位20%程度に限られますが、既にそのレベルに到達しています。

将来的に、渡辺さんには経営など大きな挑戦に関わってもらいたいと考えていて、その経験を積む場としてPMIに関わってもらっています。

実際のプロジェクトでは、要件をある程度決めるメンバーはいるものの、具体的な開発の方向性や作るプロダクトが決まって以降は、渡辺さん自身が設計から最終的なデリバリーまでを全部担当しています。

渡辺
今回のプロジェクトはゼロイチの開発で、セキュリティ要件のAIの精度など考慮すべきポイントが非常にたくさんあります。それぞれ漏れなく対応していくためには、日々手を動かしながら学びつつ、分からないことは周囲の経験豊富なメンバーに相談しています。ただ、周囲に頼りすぎないようには意識していますね。

技術的な実現可能性を判断する際には、あまり複雑な技術を使うのではなく、まずは簡単なアプローチで実装し、うまくいかなければ改善を重ねるという形で進めています。具体的には、クライアントの要件をヒアリングし、それに沿って実装やAIの精度を確認して、要件に満たなければ改善を繰り返すPDCAサイクルを回しています。

最近では、生成AIの発展で開発効率は上がっていますが、AIに任せきりにはせず、生成されたコードの意味や意図を理解し、クライアントに説明できる状態を心がけています。

――GVには若手を抜擢する文化が根付いているのですね。

南野
これからも積極的に若手を抜擢していきたいと考えています。というのも、エンジニアの世界では「どれだけ良い打席に立てるか」が成長の鍵だからです。経験を重ねることが大切ですし、これはAI開発の進め方にも通じるところがあります。

今は、これまで以上に若手が活躍できる時代になってきています。以前のエンジニアは、自分で調べ、コードを書き、動作確認を繰り返すことでしか成長できませんでした。しかし今では、自分が設計したものをAIにコード化させ、それを自身がレビューしてテストできるため、試行回数やスピードが飛躍的に向上しています。例えば、同じ能力の人でも、試せる量が10倍になれば成長速度も10倍になるはずです。

ですから今後は若く優秀なエンジニアがもっと増えていくでしょう。だからこそ、若手に質の高い経験を積んでもらうことが重要です。GVでは成長できる環境を整え、若いメンバーがどんどん挑戦や活躍ができるように積極的に抜擢していく考えです。

ゼロから最後までやり遂げる責任感

――仕事を通じて最も成長できた瞬間はありますか?

渡辺
GVで得られた一番の経験は、「大きな仕事を任せてもらえたこと」です。先ほど南野さんも仰っていましたが、しっかり成果を出して認められれば、たとえインターンであっても大規模な設計・実装を担当させてもらえます。なかでも、GVのM&A関連の案件で重要なLINEリッチメニューの機能を、ゼロから最後まで一貫して任せてもらえた経験は印象に残っています。

私自身も設計段階から関わり、最後までやり切るという経験を通じて大きく成長できましたし、自分の自信も身についたことで、「次も大きなことに挑戦できるんじゃないか」という気持ちも高まっていきました。

――大きな挑戦には苦労も伴いますが、壁にぶつかったときはどのように乗り越えてきましたか?

渡辺
壁にぶつかったのは、先ほど例に挙げたLINEリッチメニューの大規模機能の開発でした。開発終盤でバグが多発し、リリースが遅れてしまうなど、スケジュールに影響が出たことが大きな課題でした。

乗り越えるために意識したのは、最後まで責任を持ってやり遂げること。当たり前のことですが、誠意をもって対応し、正直に状況を報告することを徹底しました。

また、一人で悩まず、分からないことはすぐに社員の方に相談しました。GVの社員はとても親切で、嫌な顔ひとつせずサポートしてくれるんですよ。ミーティングでマンツーマンで教えてくださることもあり、相談しやすい環境が整っていました。このように周囲の協力を得ながら、一つひとつ問題を解決していき、無事にプロジェクトを完了させることができました。

AI時代のエンジニアに求められるスキルとは?

――今後はどのようなキャリアを築いていきたいとお考えですか?

渡辺
一つ一つ経験を積みながら、南野さんのように経営視点を持って組織全体を俯瞰して動かせる人材になりたいですね。

そういう意味では、南野さんの周囲を巻き込む力はすごいと感じています。自分だけで動くのではなく、周囲の人の動きや会社全体の変革を促す力を持っていて、その影響で会社が上向きに変わっていくんですよ。

私は南野さんがGVに入る前からインターンをしているので、その変化がよく分かります。本当に南野さんが加わってからは、組織全体のスピード感が上がりました。

――最後に、挑戦機会や成長機会が多いGVを就職先に考えている方々へメッセージをお願いします。

南野
僕たちが目指しているのは、AIを活用しながら成熟した企業を継続的にM&Aし、事業を拡大していくことです。そして、時価総額を1,000億、2,000億、3,000億と成長させていくことを目標にしています。

なかでも一番大事なのは、「この業種・業態ならこのAIが一番活躍する」というユースケースを見つけ出すセンスと、それを実際に具現化できるエンジニアリング力です。当社では今後10年で、ビジネス感覚と技術力の両方を持つ「AI時代に最も活躍できる人材の集団」を作りたいと考えています。

エンジニアでいえば、単にコードを書く力だけではなく責任感の強さや、コミュニケーション能力の高さ、そしてPDCAを自ら回して成長できる人が求められます。また、設計力や最新技術のキャッチアップ力はもちろん、AI時代は文字を読むスピードも非常に重要だと思っていて、膨大な情報を素早く読み解き、構造化していける能力が問われるでしょう。

また、GVでも非連続的な成長のために積極的なM&Aを進めていきますが、子会社の代表や役員などのポジションがどんどん増えていくので、CTOとしてすぐに任せられる人材や、経営を担える人を育てていく必要があります。

そのため、エンジニアが開発者に留まらず、経営的な視点でも活躍できる“経験”の場を作っていきます。若手が挑戦し続けられる環境を整え、どんどん成長できる組織を目指していきたいですね。

渡辺
GVに向いているのは挑戦意欲や成長志向が高く、自分の可能性を最大限に広げたいと考えている人だと思います。今後M&Aが加速していき、成長機会がさらに増えていくことを考えると、ますます魅力的な会社になっていくと考えています。

また、「まず行動してみて、そこから改善を重ねる」という姿勢も重要なので、まずは気軽にインターンに応募していただくことをお勧めします。

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