【ミダス財団が見据える未来】貧困の連鎖を断ち切るために持続的な支援を チャン・バン・ミン理事インタビュー

世界中の貧困の連鎖を断ち切り、人々の人生の選択肢を広げてより良い社会をつくりたい——。そんな思いから設立されたミダス財団。財団の代表理事でミダスキャピタル代表パートナーの吉村英毅氏に賛同した一人が、ハイブリッドテクノロジーズ代表取締役社長CEOのチャン・バン・ミン氏です。第3回は現在、財団の理事を務めるミン氏とミダス財団との出会い、そして学校建設プロジェクトが地域全体に及ぼす好影響について聞きました。
 

 

◆プロフィール

ハイブリッドテクノロジーズ代表取締役社長CEO
チャン・バン・ミン氏

1994年初来日。日系企業ベトナム現地法人の代表、ベトナム情報通信大手の日本法人代表を経て、2016年に日本とベトナムの懸け橋となり、日本のDXを促進する株式会社ハイブリッドテクノロジーズを創業

 

父の背中に憧れて
家族で手がけた「図書館建設」

――ミダス財団に関わるようになった経緯を教えてください。

そもそもは、知人の紹介で吉村さんと出会い、ビジネスで手を組むことになったのが始まりです。出会った当初は別の会社にいましたが、吉村さんとの出会いをきっかけにハイブリッドテクノロジーズを立ち上げました。財団の話を聞いたのはそれからしばらく経ってからでしたが、私自身も社会貢献活動の経験があったことから「一緒にやりたい」と申し出ました。

私の父はベトナムの軍人で、ベトナム戦争終結後は南部の町の市場でコーヒー店を経営していました。南部は雨量が多く、降るたびに未舗装の道路が激しくぬかるみます。それでも誰も整備してくれません。そんな中、父が自分のお金を出して周辺の道路一体をコンクリート舗装したのです。当時私はまだ3歳くらいでしたが、「誰かのために何かをやるってかっこいいことなんだ」と感動しました。

私が大学生になった頃には、家族みんなでベトナムの山岳地帯に図書館を建てるという活動も行いました。山岳地帯の貧困層の子どもは、そもそも本を読む機会が少ないので、まずは図書館が必要だと考えたのです。

父が資金を出して、私たちが設計業者などとやり取りしたり図書館に置く本を選んだりしました。私自身、活字だけが本ではないと思っていますし、子どもに興味を持ってもらうためにはマンガも必要だろうと感じていたので、「ドラえもん」なども取りそろえました。建物だけ作っても人が集まらないと意味がないので、1,000平米くらいの土地に遊び場のような場所も併設して、地域のメディアに宣伝活動にも力を入れました。手応えを感じた一方で、お金と時間がある時しか活動できず、持続性がないことにもジレンマを覚えていました。

――そんな思いを抱えている中で、吉村さんから財団の話を聞いたのですね。

「世界中の貧困を断ち切りたい」という熱い言葉に心を動かされました。ベトナムのことであれば、私の知見も生かせます。図書館建設の際にも考えていたことですが、建物を作るだけにとどまらず、継続的な支援で地域全体の貧困問題を解決することが理想的。吉村さんなら、それが実現できると直感しました。

というのも、初対面の私に「上場を目指しませんか?」と提案してくれたのが吉村さんだったからです。当時の私はベトナムの別の企業に勤めていましたし、過去60年間、ベトナム人で日本の証券市場に上場した人は一人もいませんでした。それなのに、私ならやれると感じてくれた。そして、吉村さんのその一言によって、実際に起業も上場も成し遂げることができたのです。

ロジックで畳み掛けてくるわけではないのに話に説得力があって、壮大なビジョンを信じられるだけの実績を持っている人。ぜひ一緒に世界を変えていきたい。そう思いました。
 

ミダス財団がベトナムに建設した小学校を視察した際の写真。左から二番目がミン氏


 

学校という新しい「シンボル」が、貧困地域の大人たちを変えた

――「地域全体の貧困を解決したい」と仰いましたが、支援プロジェクト第一号となったベトナム北部のNa Khoang Elementary Schoolでは、校舎の建て替えとともに、学校に井戸を掘る、周辺の橋を建て替える、通学用の洋服や靴を支給するなど、地域のインフラを整備をすることで、周辺住民全員の生活レベル引き上げを意識したと伺いました
https://talent.midascapital.jp/interview/interview-52/

学校に井戸を掘ったことによって子どもが遠くの川に水を汲みに行く必要がなくなり、学校に通う時間を作ることができました。さらにその後、村全体にパイプラインのように井戸を広げた結果、村の住民全体の健康が改善されたという話を聞きました。

また、村の新しいシンボルともいえる学校ができたことで、地域の大人たちも自然と集まるようになりました。ここに集まってサッカーをする大人も増えたと聞いています。また、大人たちが学校という存在について知ることで「こんなにいい場所があるのだから、子どもを働かせずに勉強させよう」という意識が地域に芽生えたようです。建て替え前は20人程度だった生徒が、今や50人以上。このプロジェクトによって、地域全体にポジティブな効果が生まれたと感じています。防寒具や靴の支給など、今後も支援を続けていく予定です。

第4回では、ミン氏が考えるビジネスと社会貢献活動との共通点、そして活動から得た思いを紹介します。

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