女性がベンチャー企業で快適に働くために取り組むべきこととは?キャリアアップを目指す女性たちとの交流会レポート

過日のプレスリリースで、2024年までに、管理するファンドが過半数もしくは筆頭株主である企業全社にて、経営幹部に女性を1名以上登用する方針を決定した当社は、先日「女性CxOセミナー」をオンラインで開催。このセミナーに続く取り組みとして、参加者数名と当社の出資先企業社長の対面交流会を開催しました。

今回、現役幹部として参加いただいたのは、代表取締役社長や最高財務責任者を務められている4名。また将来的に、幹部としてのキャリアプランを検討されている3名の女性にご参加いただきました。

交流会では、ベンチャーで働くことや、女性ならではの悩み、実際に幹部として活躍されている参加者への相談、さらには、どんな会社で女性幹部として働きたいかなどのトークを繰り広げました。

 

■登壇者プロフィール

株式会社GENDA 代表取締役社長
申 真衣 氏

東京大学経済学部経済学科卒。2007年ゴールドマン・サックス証券株式会社入社。2010年より金融商品開発部にて、金利・為替系デリバティブの商品開発・提案業務、グローバルな金融規制にかかる助言業務等幅広い業務に従事。2016年4月金融商品開発部部長。2018年1月マネージングディレクターに就任(当時最年少)。 2018年5月に同社を退職し、株式会社GENDAを共同創業。2019年6月より現職。

 

株式会社バイセルテクノロジーズ 代表取締役社長兼CEO
岩田 匡平 氏

東京大学工学部システム創成学科卒。株式会社博報堂を経てマーケティングコンサルティング等を提供するOWL株式会社(現・株式会社AViC)を2014年に創業し代表取締役就任。2016年6月より株式会社バイセルテクノロジーズのコンサルティングを開始し、2016年10月に取締役として参画。リユース事業全体を管掌し、2017年9月に代表取締役社長兼CEO就任。

 

株式会社AViC 取締役CFO
笹野 誠 氏

東京大学卒業。株式会社みずほ銀行にて大企業営業に従事の後、みずほ証券株式会社にてテレコム・メディア・テクノロジーセクターのカバレッジとして投資銀行業務に従事。2020年1月にCFOとして株式会社AViCに入社、2月より取締役に就任。

 

株式会社シンクスマイル社長
新子 明希 氏

1972年大阪出身。17歳の時にアメリカ大陸一周した際に、「経営者は幸せの専門家である」と知り、自分もそうなろうと高校卒業後、教材販売会社に就職。資金をためて21歳で起業。その後、2007年にI・コンサルティング株式会社設立。2011年に株式会社シンクスマイルに社名変更し、現在に至る。

 

※女性幹部候補の3名は、プライバシー保護のため参加者A,B,Cとして登場いたします

 

大企業からベンチャーに転職検討したきっかけ

 

新子:みなさんは現在、女性幹部を視野に入れて転職活動をされていますか?

 

参加者A:新卒からコンサルタント、PRコンサルタントを経て、半年前に現在の会社に営業として入社しました。申さんのSNSを拝見して、今回参加しました。

 

参加者B:私は5か月の子どもがいるため育休中ですが、現職での育休は制度上は1年なので、保育園に入れたらまずは早めに現職に復帰予定です。立ち上げ期からいた会社なので、直近での転職は考えていませんが、興味があるので参加しました。

 

参加者C:ちょうどコンサルティングファームやスタートアップを希望して転職活動中です。新卒からずっと所属している今の商社には、駐在を含め様々な経験をさせてもらいましたが、他の産業を見られる最後のチャンスかな?と思ったのがきっかけでした。

 

笹野:みなさん大企業にいらっしゃいますが、制度も何も揃っていないベンチャーで働くことは想像つきますか?転職に不安はないんですか?

 

参加者C:1から立ち上げるステージの方がワクワクするし面白いですね。駐在先で会社を立ち上げたときにも、事業所にネズミ取りをしかけるところから始まりましたし(笑)

 

参加者B:私も制度や福利厚生で会社を選んでいなくて、後からついてくるものだと思っています。自身も初の産休育休ですが、会社に育休制度を作ってもらいました。立ち上げ初期はカオスでしんどいこともありますが、自分のミッションだと思って働いていたので問題なかったです。
転職時は、その会社のWantedlyの記事をよく読むので、会社がカルチャーの発信をしてくれているとカルチャーフィットして入社できるので助かります。

 

新子:給料も下がりましたよね?

 

参加者B:下がりましたが、長い人生を考えると「ベンチャーを経験してみてもいいかな」と。

 

参加者C:また、商社だと階級が上がるまで年数がかかるし、人事権があるのが40代以上なので、今の年齢で幹部になる可能性が無いんです。それに引き換え、ベンチャーに行った先輩方は、みんなイキイキとしているのも転職を考えるきっかけになりましたね。

 

「子育て×仕事」どう両立する?

 

 

参加者A:どうやって子育てと仕事を両立しているんですか?

 

申:日本はアメリカなどと比べたら、保育園は割と遅くまで預かってくれるし、公的支援も受けられる。実は制度としてはすごく整っているんですよね。逆に日本特有の文化やカルチャーのほうが障壁になっていると感じています。「長時間保育園に預けるなんて、子どもが可哀想」って言う方がいたりね。

 

岩田:たしかに、日本のカルチャーはその傾向がありますね。私は男なので、過去に自分の子どもが生まれた時には、いざ女性が妊娠すると周りが気を遣い始めるということを初めて知りました。「気を遣って欲しいわけじゃないんだけど!」っていう本人と周囲のギャップが生じていましたね。

 

申:周りを見ていても、子どもの体調不良などの際に、「ごめんなさい」と言いながら早退する人が多いと思うのですが、早く帰る人には面白い仕事が振られなくなっていくんですよね。うちは旦那さんとカレンダー共有しているので、手が空いている方が動いています。子どもは、女性だけにできるのではなくて、男性の子どもでもありますもんね。みなさんはどうやって両立していく予定ですか?

 

参加者B:育休明けも子どもとも過ごしたいですが、時間を区切って仕事もしたいので、絶賛シュミレーション中です。

 

参加者C:義理親が近くに住んでいるので、親の力を借りたり、アウトソースしています。仕事の予定も16〜21時はブロックして時間を確保しています。

 

一同:あー、それはいいですね!

 

岩田:自分も予定はブロックしています。秘書がスケジュールを管理しているので、ブロックしないと予定を入れられてしまうという面もありますが、ブロックする習慣があったので第一子のときは予定を調整して、子どもの面倒を見ることができました。

 

新子:まぁそこはコミットするタイミングってことですね(笑)。たまにはいいパパをしないと!

 

岩田:妻の機嫌がよくない時には、おむつを積極的に替えたりとかね(笑)。

 

メンバーに指摘する際にカドを立てないためには?

 

笹野:話は変わりますが、自社のコーポレートチームが全員女性なんですが、厳しいことを言うとき伝え方を少し悩むんですよね。管理部長が女性なので、彼女に頼ってしまうこともあるくらいで。現状、部下との関係性で悩みなどはないですか?

 

参加者C:部下は4人で、1人だけ女性がいます。でも私が入社した頃と比べてマイルドな男性が多いし、EQ(共感)が高いのでやりやすいです。

 

新子:コミュニケーションの本質は、”聞くこと”と”違いを知ること”’なんですよね。ほとんどの年配者たちは見解や意見の違いに気づくと、「いやそれは違う」と持論で制圧するので、若手は黙ってしまう。これはとてももったいなくて、本来違いは受け入れられるものだし、それが改善のきっかけにもなるはずなんです。今後経営者や幹部になったら、到底受け入れられないような意見も上がったりするが、まずは「そうきたか〜!」と返せば、強く否定するわけではなく相手に再考の余地を与えられるのでオススメですよ。

 

一同:なるほど〜!

 

女性幹部になるためのファーストステップ

 

参加者C:女性幹部として、10年後、そして中長期的に目指すものはありますか?

 

申:今の私にとっては、「会社の成長=自分の成長」ですね。でも長期的に見ると、人生100年世代なので、残りの数十年をどう楽しく働くかを考えています。長く楽しめた方が、味わい深い人生になりそうじゃないですか?最終的に、人生の一番最後にはビジョナリー(未来を予想する人)になりたいと思っています。

 

参加者B:私は経営層に入って、そこからの景色を見てみたいんです。でも、今自分に経営者として何が足りないかもわからないし、何かヒントがあれば欲しいです。

 

申:極端にいうと、足りないものはないですよ。「私がこの仕事をやりたい!」って言い張るだけです。経営者としてのスキルが備わったから起業したわけではないし、やりながら学ぶ部分が多いですしね。

 

笹野:たしかに転職希望者から「経営メンバーに入れて」と言われたことないなぁ。

 

参加者A:申さんは前職時代に、どうやって昇進したんですか?

 

申:当時の上司に、「2年後に昇進するためには何をすればいいか?」と、単刀直入にやるべきことを聞きましたね。女性上司に対して抵抗がある人もいたので、もちろん手こずったこともありました。でも日本の年功序列の中にいると、目の前のことを頑張っていれば年齢と共にステップアップしますが、アメリカだと一番最初に必要なのは「自分は出世するべきだと思うこと」なんです。そこから、出世するために足りないものを補っていくんですよね。

 

岩田:なるほど、たしかになぁ。もし社内で幹部になりたかったら、「①真剣に会社のことを考えてプレゼンする、②部門を立ち上げて責任者をやる」といういずれかだと、可能性があると思いますね。経営者はコンサルタントではないので、「経営者になりたいけど、どうしたらいい?」と質問するよりも「この領域、私できます」のほうが具体的に想像しやすいですからね。

 

どんな企業だったら女性は経営幹部になりたいか?

 

岩田:最後にみなさんに質問なのですが、どんな企業文化だと、女性は前のめりで働きたくなりますか?

 

参加者C:多様性が歓迎される場所だと嬉しいです。現職ほどの規模になってしまうと、会社のカラーが固まって偏っているので、ベンチャーには就業時間や場所も含めていろんな働き方があっていいよね、という文化だといいですね。

 

申:あとはやっぱり、テレワークで子どもが泣いたり騒いで嫌な顔される会社は、厳しいですよね。

 

新子:あー、それは辛いね。うちは会社に子どもを連れてきてもいいですし、今ではペット同伴もOKですよ(笑)。

 

岩田:まぁ新興ベンチャー企業の経営層も育休を取っていましたが、TOPが取ることで社内文化が変わるのかな?制度が会社の文化として根付いていくとベストですよね。

 

申:会社にとっても、誰かがいなくなっても仕事が回るのを確認するのは、悪いことじゃないですしね。

 

ミダスキャピタルでは女性幹部登用に向けて、今後もグループ企業での女性幹部の採用や女性幹部向けの研修、男性幹部向けのアンコンシャスバイアス解消に向けた研修を検討しています。ミダスキャピタル企業群でも積極的に女性幹部候補の採用を行っています。詳しくはミダスキャピタルの採用ページをご覧ください。

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