創業約4年という速さでIPOを実現した株式会社AViC市原創吾社長に聞く創業時の想い ミダスキャピタル総会 イベントレポート

2022年6月、ミダス企業群としては株式会社BuySell Technologiesに続いて2件目、オーナーファンドとしてはミダス企業群初の上場承認を果たした株式会社AViC。同月15日に開催されたミダスキャピタル総会において、株式会社AViC市原創吾社長に起業の経緯や今後の展望についてお話を伺いました。

 

◆登壇者プロフィール
株式会社AViC 代表取締役社長
市原創吾(いちはら・そうご)氏
2009年、青山学院大学理工学部を卒業後、株式会社サイバーエージェントに入社。広告事業部門にて複数の大手クライアントを担当し、インターネット広告を中心としたWebマーケティングにおけるコンサルティング業務に従事。その後、マネジメント業務にも携わり、2015年に局長に就任。2018年4月、株式会社AViCを創業、代表取締役社長に就任。

株式会社ミダスキャピタル 代表パートナー
吉村英毅(よしむら・ひでき)氏
東京大学経済学部経営学科卒。2003年大学在学中に株式会社Valcomを創業。2007年株式会社エアトリを共同創業し代表取締役社長に就任(株式会社Valcomを吸収合併) 。 2016年株式会社エアトリを東証マザーズ上場、2017年東証1部上場。2017年株式会社ミダスキャピタルを創業し、後に代表取締役社長に就任。同年ミダスキャピタル第1号案件として株式会社BuySell Technologiesを買収。後に取締役会長に就任し、2019年東証マザーズ上場。
 

◆モデレーター
株式会社BuySell Technologies 代表取締役社長兼CEO
岩田匡平(いわた・きょうへい)氏
東京大学工学部システム創成学科卒。株式会社博報堂を経てマーケティングコンサルティング等を提供するOWL株式会社(現・株式会社AViC)を2014年に創業し代表取締役就任。ベンチャー企業を中心とした急成長企業のマーケティング活動を幅広く支援。2016年6月より当社のコンサルティングを開始し、2016年10月に取締役として当社に参画。リユース事業全体を管掌し、2017年9月に当社代表取締役社長兼CEO就任。

 

オーナーファンド組成後、最速4年での上場承認

岩田 今日のメインコンテンツです。株式会社AViCが創業してから最速4年で東証の上場承認となりました。おめでとうございます!

市原 ありがとうございます。

岩田 早速ですが、市原社長がどういった思いで株式会社AViCを創業されたのか、そこから株式会社AViCをどのように経営してきたのか、そしてなぜ吉村代表は株式会社AViCに投資をしたのかといった点を伺っていきたいと思います。

まずは株式会社AViCの事業概要についてご紹介をお願いします。

市原 はじめまして、株式会社AViCの市原と申します。私はもともとサイバーエージェントという会社でサラリーマンをしていましたが、経営経験がない中、4年前に、株式会社AViCを立ち上げる決断をしました。

インターネット広告市場は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあり、2.7兆円規模にまで拡大しています。その中で、大手の広告会社は、大企業(いわゆるナショナルクライアント)に対してオーダーメイドかつ高いレベルでWEB広告のコンサルティングを提供しています。つまり、一部の大企業にしか高いレベルのサービスが届いていない、デジタル・デバイド(情報格差)が発生しているという課題があります。この課題を解決すべく、株式会社AViCは、大企業ほど潤沢に広告予算を有していない顧客に対しても、いかにして高い技術を届けていくことができるのかを考え、事業を展開しています。

インターネット広告を中心としたデジタルマーケティング業界はスキルが属人化されやすい傾向にあります。しかし株式会社AViCでは、マーケティングDXツールの開発、優秀な新卒社員の採用、科学的なアプローチに基づく人材育成など、この3年間で再現性を高めるための仕組みを整え、高い生産性という点で競合との差別化を図ってきました。
この取組みが成功したことで、競合プレイヤーが数多く存在する中、競争力をつけながら市場開拓ができたと考えています。
今期に関しては、取扱高ベースで前期の2倍以上の実績を見込んでおり、AViCの事業モデルがお客様からご支持いただいているからこその結果だと自負しています。
従業員も現時点では54名で、まだ発展途上ではありますが、今後、さらに一人ひとりの生産性を上げ、人材採用も強化していきたいと考えております。

株式会社AViC 代表取締役社長 市原創吾氏(写真左)

岩田 ありがとうございます。なぜサイバーエージェントを辞めて起業家に転身されようと思われたのでしょうか?

市原 私は30歳になるまで、「社長になる、経営者になる」ということは一切考えていませんでした。私がまだ20代前半でサイバーエージェントの現場作業をしており、岩田さんもまだ博報堂にいらっしゃった際に取引先としてお会いしましたよね。

岩田 僕が3年目で、市原さんが2年目のときですね。

市原 その頃、本当に公私ともに岩田さんにお世話になったことを覚えています。その後、岩田さんは株式会社BuySell Technologiesの幹部となり、僕は引き続きサイバーエージェントの担当者として、株式会社BuySell Technologiesに営業をかけて受注できた際に久々の再会を果たしました。

その時にお会いした岩田さんは、既に大企業の経営者になっていました。久々にお会いして話をしましたが、経営者目線での話など岩田さんとの会話についていけない部分があり、数年でものすごく成長されていらっしゃると感じ、刺激を受けました。
岩田さんとの再会をきっかけに、私も、30代を生きていくうえで更なる成長を目指したいという思いが強くなり、改めて岩田さんにご相談して起業に至ったという流れです。

岩田 当時サイバーエージェントにおける市原さんのチームは170名ほどで、とんでもない営業利益をたたき出していましたよね。順風満帆なイメージでした。そんな中で経営者の道を目指されようと思った最終的な決め手はどのあたりにあったのでしょうか?

市原 やはり、人生の中で、見たことのない景色を見に行きたいと感じました。岩田さんとの再会で、『経営者はとんでもない景色を見ているのだろう』と強く感じました。最終的にはその憧れが影響し、意思決定しました。

 

各種勉強会の開催や人材のアドバイスなど、多くの支援を得て最速上場を実現

岩田  ありがとうございます。その後、起業に至ったわけですが、ミダス企業群に投資先企業の経営者としてジョインし、さらに現物出資のスキームを選ばれた理由には、どのようなきっかけがあったのでしょうか。

株式会社BuySell Technologies 代表取締役社長兼CEO 岩田匡平氏

市原 当時の私は、自身が身を置いていたインターネット広告の業界知識自体は豊富だったものの、経営については素人という状況でした。ミダスキャピタルや投資先の企業の幹部の方々からメンタリングを受けながら企業経営を学び、実践していくことで、経営者として必要なプロパティの多くを得ることができました。それはミダスキャピタルならではだと本当に強く感じましたね。

岩田 一方で、ミダスキャピタルとしては、当時2018年9月時点で売上120万円規模の企業に5,000万円もの金額を出資しようと思われたのはなぜだったのでしょうか。

吉村 実は私は大胆な投資という得意技がありまして(笑)。例えばBuySell Technologiesは当時営業利益2億円程度の企業でしたが、現在、営業利益30億円と4年で10倍以上にまで成長しています。そしてGENDA(株式会社GENDA:ミダス企業群の一つで、新規設立方式で創業されたゲームセンター事業を主軸とするエンターテインメント事業会社)も、起業してから早々に株式会社セガ エンタテインメントのM&Aに成功し、こちらも企業として大きく拡大しました。
そして今回の株式会社AViC。これは2018年の夏頃、岩田さんからご紹介をいただき、市原さんの強い思いを感じて、「そこまで言うのなら」ということで投資を決めましたが、やはり4年間で時価総額4倍以上という、期待以上の結果を出していただいています。

株式会社ミダスキャピタル 代表パートナー 吉村英毅氏(写真右)

岩田 二つ返事で投資を決めていただきましたね。株式会社AViCから見てミダスキャピタルのスキームを活用したいと感じたメリットはどのあたりにあったのでしょうか。

市原 人材採用に関するアドバイス、様々なジャンルの勉強会、VCからの出資を獲得するにあたっての各種ご指導、上場にあたってのロードショー前のトレーニング等々、本当に多大なるサポートをいただきましたね。上場準備は、僕自身にとってはじめてのことだらけでしたが、あらゆる面で高いレベルで手助けいただき、本当に心強かったと感じています。上場プロセスにおいて、一度しかない重要なマイルストーンが複数ありますが、それぞれに存在するたくさんの落とし穴に対して、都度適切なフォローをいただけたことが大変助かりました。

ミダス企業群では各企業の社長が集まる社長会を月に1回開催していますが、この存在も自分の中では大きかったと感じています。様々な社長様のお話を伺い、お互いにいい点・悪い点を共有してアドバイスをもらえることは本当に刺激であり、自分自身のモチベーションになりました。

岩田 健全な焦燥感、劣等感みたいなものを感じますよね。吉村さんから見て、ミダス企業群の相互扶助の機能の側面から、株式会社AViCに対してうまく機能した、好影響をもたらしたと感じる点はありますか?

吉村 株式会社AViCは、やはり当初の目標スケジュール通りに上場承認を実現するにあたって、ミダス企業群のこれまでの経験・知見をうまく生かしていただけたことが大きかったのではないかと思います。

岩田 株式会社AViCはオーナーファンドの東証初上場となりました。吉村さんはどのような所感をお持ちなのか、改めてお伺いしていければと思います。

吉村 なぜ「オーナーファンド」という仕組みを考え始めたのかという点にさかのぼります。もともと「企業群という『群』を作っていきたい」と考えていました。それには、対象企業へマイノリティ出資するだけでは不十分だと思いました。また、私は「オーナーを買収したい」という意図があるわけではないので、M&Aでバイアウトする手段もやりたいこととは違いました。

「企業群」という形を作りながら、オーナーが経営の意思決定を行う「オーナー企業」という形を両立していくにはどうすればよいのか。そう考えて作り上げた仕組みが、このオーナーファンドでした。

今回の株式会社AViCの上場によってまた一つ、ミダス企業群の景色が変わっていくんじゃないかと思っています。株式会社AViCの上場が、このスキームを外部に広めていく大きなきっかけになったと思います。

岩田 株式会社AViCがオーナーファンドというスキームで上場したということで、一つ実績ができましたよね。今後オーナーファンド企業の増加に関して、どのように取り組まれていきたいとお考えですか?

吉村 ミダス企業群に参画している企業が今十数社あります。今後、参画企業が増えるに従って、ミダス企業群のうち、半数程度の企業はオーナーファンドの形態になるのではないかと考えております。

ミダス企業群に参画していただくことで、ミダスキャピタルからさまざまな支援をさせていただくことができます。また、時価総額1,000億円、1兆円、10兆円という規模、世界観は、1社で達成するのは難しいことですが、その世界観をみんなで目指していくという連帯感が大きな強みになるのではないかと考えています。

岩田 ありがとうございます! 今後、株式会社AViCとしては、どのような経営を目指されるご予定ですか?

市原 この数年で市場のど真ん中へ。株式会社AViCの社長として、自分の使命をしっかりと果たしていきたいと考えています。

岩田 ありがとうございます。さらに上を目指してがんばっていただけたらなと思っています。改めて皆さん、2022/5/27に上場承認を得られた株式会社AViCの市原社長に大きな拍手をお願いいたします。

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