最高の結果を出すKPIマネジメントとは?ミダスキャピタル主催の社員向け勉強会開催

「KPI」は「Key Performance Indicator」の略で、日本語に訳すと「重要業績評価指標」という意味です。「売上高向上」といった組織の最終的な目標に向け、そのために必要な業務プロセスをどの程度達成できたのかを管理・評価するための重要な指標のことを指します。企業として最高の結果を出すために、どのようにKPIを設定するかは、重要な課題です。ミダスキャピタルでは、昨年9月に社内向けの勉強会において、中尾隆一郎氏を招き、KPIマネジメントについて学ぶ機会を作りました。今回はその様子をお伝えします。

 

◆プロフィール

中尾マネジメント研究所 代表取締役社長
中尾隆一郎氏

1989年大阪大学大学院工学研究科修了。リクルート入社。リクルート住まいカンパニー執行役員(事業開発担当)、リクルートテクノロジーズ社長、リクルートワークス研究所副所長などを経て、2019年より現職。株式会社「旅工房」社外取締役、株式会社「LIFULL」社外取締役、「LiNKX」株式会社非常勤監査役、株式会社博報堂DYホールディングス フェローも兼任。専門は、事業執行、事業開発、マーケティング、人材採用、組織創り、KPIマネジメント、中間管理職の育成、管理会計など。

 

KPIマネジメントでは最適なCSFを見つけることが重要

 

 

勉強会はオンラインで開催され、ミダス企業群の10社から約50人が参加しました。まず、中尾さんは「KPI」について、「KPIには事業成功の鍵のようなニュアンスがあって、言葉だけが非常に目立っていますが、本当に大事なのはKPIよりも手前の部分です」と説明しました。

 

 

中尾さんによると、KPIマネジメントをする上で、主要な登場人物は「Goal」、「KGI」、「CSF」と「KPI」の4つ。このうち、KPIの手前の段階を「CSF」つまり「Critical Success Factor」といい、目標を実現するために決定的に重要な要因のことを指します。中尾さんは、「重要ということは、言い換えると「一番弱いところ」という意味です。皆さんのビジネスプロセスの中では、ボトルネックが一番伸びしろが大きいところになりますよね。それが社内のどこにあるのかを見つけることで、最適なKPIを設定することができるのです」と話します。

このように、ボトルネックを探してみんなで守るという考え方を、「制約条件理論=TOC」と言います。もともと自然科学における理論でしたが、現在では生産、サプライチェーン、ロジスティック、会計、営業など、さまざまな分野に適用されている考え方なのです。

 

「制約条件理論」を理解するためのエピソード

 

 

次に、中尾さんからは制約条件理論を理解するためのエピソードが提示されました。投げかけられたのは、「材料を3つの組み立て機械で製品にする工場ラインがあります。1時間に何個製品ができますか?」という質問です。組み立て機械はAからCまでの3つあり、全てのプロセスを通らなければ、製品にはできません。Aは1時間に50台、Bは1時間に20台、Cは1時間に40台の製品を作ることができるため、この質問の回答は「20台」です。

 

 

中尾さんは、この結果について、「どうすれば1時間あたりの製品の製造数を増やすことができますか?」と質問を重ねます。参加者からは「Bの1時間あたりの生産数を増やせばいい」と回答があり、これに対して中尾さんは「Bを強化することでボトルネックが解消できますね」と答えました。

さらに、中尾さんは参加者に対して、「組み立て機械Bの操作をする作業員はどうやって確保するか」と問いかけ、「組み立て機械Bが自分たちで効率をあげて頑張る、組み立て機械AやCのチームから支援する、新たに採用するなど、方法は色々とありますが、現状では『Bが自分たちで頑張れ』と言ってしまう企業が多いんです。これは、チーム間で情報が分断されていることなどが影響しています。制約条件理論の考え方では、AやCなどの他のチームが、弱いBを支援するのが理想とされているのです」と説明しました。

 

 

このエピソードのまとめとして、中尾さんは「一番弱いところを特定して、その弱いところをすべての組織が支援するという考え方を持てるかどうかが、KPIマネジメントの一番大事なところです。全体の生産性を上げるためには、弱いチームを強化するために他のチームが支援できる組織を作ることが大切です」と話しました。

 

4つの主要人物を特定するためには?

 

 

企業において4つの主要人物を特定するためには、どのようなプロセスが必要なのでしょうか。「毎週1時間、ビジネスプロセスのトップが集まって、それぞれがGoal、KGI、CSFとKPIを持ち寄ってすり合わせることで、認識のズレが回避できる」と中尾さんは言います。大きな組織だと、実際に集まった時に、これらの数値がピッタリと合うことはほとんどないのだそうです。「全従業員が、会社で一番弱いところはどこで、どれぐらいの数値まで上げなければいけないのかを共通して把握できていることが大切なんです。なぜなら、会社としては弱い部分に人、もの、お金を投資するので、そこに対する不満が出てしまう可能性があるからです。全員が認識を共有できていれば、そうしたことも回避できます」(中尾さん)

 

勉強会では、この後具体的にKPIマネジメントの具体的な方法や、自律自転する組織を作るための「OJTマネジメント」についても、中尾さんからお話をいただきました。参加者からも質問が多く寄せられ、非常に活発な議論が交わされる有意義な時間となりました。

ミダスキャピタルでは、ミダス企業群の社員向けに2ヶ月に1回このような勉強会を開催しています。企業群が横断してナレッジをシェアすることで、企業群としての成長ができる強みがあると考えています。これからも、このような勉強会を引き続き開催してまいります。

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