総額約7.6億円の資金調達を完了 アジアに進出するダイレクトマッチングのC2C Platform社の事業戦略とは

CtoCビジネスのダイレクトマッチング事業に特化したシステム開発および事業支援を行うC2C Platform株式会社は、クライアント企業と協同で幅広い業界のDXを推進しています。マッチングサービスの市場拡大が加速する中で、開発人材の強化とクライアントサポート体制の拡充を図ることを目指し、新たな資金調達を実施しました。同社の事業の特徴とビジネスの展望について代表取締役社長の薛悠司氏にお話を伺いました。

◆プロフィール

C2C Platform株式会社 代表取締役社長
薛 悠司(ソル・ユサ)氏

慶應義塾大学法学部政治学科在学中に有限会社VALCOM(現株式会社エアトリ)の立ち上げに参画。その後、2005年株式会社リクルートに入社。2011年、Soltec Vietnam Companyを立ち上げ、代表取締役に就任。2012年ITオフショア開発事業のEVOLABLE ASIA CO., LTD.(ベトナム法人)を創業し、代表取締役に就任。東南アジア最大の日系オフショア開発企業に成長させる。2014年ソルテックグループの統括法人としてSOLTEC INVESTMENTS PTE.LTD. (シンガポール法人)を設立し代表取締役に就任。2017年、ダイレクトマッチングに特化したプラットフォーム開発事業のC2C PTE.LTD.(シンガポール法人)を創業し、代表に就任。2019年、ベトナムにC2C Tech Hub.co.,Ltd.を設立。2021年、日本にC2C Platform株式会社を設立し、2022年、同社代表取締役社長に就任。

 

CtoC向けのダイレクトマッチングサービスに特化した「グロース支援まで手掛ける開発会社」という独自のモデルが奏功

――C2C Platform株式会社(以下C2C)は、社名の通り、toC向けのマッチングサービスを行っていらっしゃいますが、その特徴や強みについてお聞かせください。

当社はダイレクトマッチングに特化したプラットフォーム開発事業を手掛けています。CtoCのマッチングサービスを行うクライアント企業に対し、システム開発だけでなく、ビジネスモデルの戦略設計、マーケティング支援、資金調達、業務コンサルティングなどのサポートを一気通貫で提供できるのが大きな特徴となっています。

今まで手掛けてきたサービスは、ネイリストとユーザーをつなぐ「Nailie(ネイリー)」、出張リラクゼーションサービスのセラピストとユーザーをつなぐ「HOGUGU(ホググ)」、またBtoBのマッチングになりますが、飲食店が食品工場に仕込み済み商品を発注できる「シコメル」など、業界は多岐に渡っています。

強みは主に以下の2点です。

1)クライアントの外部エンジニア組織としてシステム開発から運用保守業務までを担う
クライアントサイドに開発エンジニアがまったくいなくても事業が作れるという点が大きな強みとなっています。当社はベトナムにC2C Tech Hubという子会社があり、約90人の現地エンジニアがシステム開発、運用保守業務に従事しています。

2)ダイレクトマッチングに関するシステムやグロースの知財を有し高いコストパフォーマンスを実現
ダイレクトマッチングに必要なシステムや事業の成長に関する膨大な知財を社内に保有しており、幅広い業界に対応できます。ダイレクトマッチング事業に共通する汎用的機能と、業界特性に合わせたカスタマイズ開発を組み合わせることで開発時間、開発コストをミニマイズし、質の高い開発ができるのも当社の強みです。

 

「サービスの提供者と利用者を直接結びつける仕組みが、あらゆる産業で起こっていくはずだ」と自身の海外での経験を基に起業

――システム開発会社は競合にも多くありますが、マッチングサービスに特化したのは、どういった理由からですか。

ダイレクトマッチングに着目したのは、私の海外の経験によるものです。当時はベトナムやシンガポール、アメリカに出張することが多く、海外では日本よりもダイレクトマッチングサービスが進んでいることに気づきました。

配車アプリを使ってドライバーを呼ぶ「Uber(ウーバー)」や部屋を貸したい人と借りたい人をつなぐ「Airbnb(エアビーアンドビー)」、飼い犬の世話を依頼したい人とドッグシッターをつなぐ「Rover(ローバ―)」など、ジャンルは多岐に渡ります。

特にタクシーの不便さを痛感していたので、アメリカでのUberの利便性には驚きました。今までタクシー会社が行っていたことをプラットフォームが代替することによって、サービスが劇的に向上してコストが下がる。利点が多く、サービスの提供者と利用者を直接結びつけるというこの仕組みは、あらゆる産業で起こっていくはずだと考えました。

ベトナムでオフショア開発事業を創業した経験から、どのような領域であってもマッチングサービスのシステム自体は重複するファンクション(機能)が存在していることがわかっていましたので、優れたプロダクトを低コストで提供できる自信がありました。多くの開発企業は開発と事業をセットで行い、一つの市場を取っていく形を採りますが、当社は各業界の知識、経験を豊富に持つ企業とタッグを組むことで、あらゆるマッチングサービスの黒子(くろこ)役になることを目指しています。

 

シリーズA、総額約7.6億円の資金調達を完了。日本での実績を糧にアジアのマーケットへ

C2C Platform株式会社 代表取締役社長 薛悠司氏

――直近で行われた資金調達では総額7.6億円にのぼる調達に成功したと伺っています。今回の資金調達の概要とその目的は何ですか。

資金調達の目的は主に、事業拡大に伴う開発人材の強化と新たに立ち上げるグロース戦略室の人材確保にあります。クライアントのコンサルティングを手掛けるグロース戦略室では、人材コンサルティングや事業会社での経験がある人材の採用を強化していきます。

また、プロダクト開発体制やグロースチームの拡⼤、プラットフォーム機能開発、主要事業の事業強化も進めていく予定です。

 
――直近でクライアントの成長によりコミットするための取り組みをされていると伺いました。

昨年末から既存のクライアントの株式保有や出資を進めています。得意先の収益並びに事業成長に主体的に関わっていくのであれば、できるだけ早いタイミングで株式を取得して、フィーとは別に株価の上昇にも連動していけると、クライアントの負担がより少なくなると考えるためです。

また先ほど申し上げたグロース戦略室の立ち上げについては、クライアントの成長によりコミットし、各クライアントのフェーズに合わせて最大のバリューを発揮できる体制を拡充していくことを企図したもの。マーケティング以外の側面でも様々なお手伝いができる仕組みを整えていく予定です。
社会的インパクトのあるプロダクトをクライアントと共に作り上げることで、劇的な成長を遂げるクライアントを生み出すことができると考えています。

 
――資金調達にも成功し、躍進を続けるC2C。最後に、直近の目標や今後の事業構想についてお聞かせいただけますか。

マッチングサービスの拡大は今、とても大きな流れになっています。今後も、既存クライアントの成長を支援しながら、新たなプロダクトの立ち上げを続けていきたい。成長の限界がないことも当社の事業の強みだと考えています。
2023年をC2Cにとってのグローバル元年にできたら、と考えています。戦略地域としては、中国・インド・インドネシアを除くアジア諸国に注目しています。ユーザーがサービスごとに専用アプリを使い分けるという、日本と同じような市場を作っていけるだろうと考えているからです。日本での実績を生かしてアジア諸国に打って出ることで、一定のマーケットが取れると確信しています。

すでに、「こんなマッチングサービスをやりたい」という海外向けの相談が複数寄せられており、具体化しつつあります。私はベトナム、フィリピン、シンガポールなどで事業経験があり、アジア各国の市場動向には精通している自負がありますし、いつでも打って出る準備はできています。

経営としては時価総額1000億円以上のIPOを果たし、2030年までに時価総額1兆円を超える企業になることを目指していきます。

 

――ありがとうございました。

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