【ミダス財団が見据える未来】ベトナムの小学校で感じた「大切なこと」久山貴久氏インタビュー

ミダス財団について紹介する特集の第5回。財団のバックオフィス業務を一手に担う、久山貴久氏に話を聞きます。学生時代から教育への関心が高かったという久山氏。ミダス財団がベトナムに建築した小学校を視察し、改めて感じたことがあるといいます。
 

◆プロフィール

株式会社ミダスキャピタル ディレクター
久山貴久(くやま・たかひさ)氏

2018年4月、ゴールドマン・サックス証券株式会社入社。投資銀行部門アドバイザリー・グループにてM&Aのアドバイザリー業務および株式・債券等による資金調達関連業務に従事。 2021年10月、株式会社ミダスキャピタル入社。投資本部にて案件ソーシング、企業価値評価、DD(デューデリジェンス)、契約交渉業務、既存投資先支援等に従事。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。

 

ミダス主催のセミナーで財団の存在を知り、入社を決意

――久山さんがミダスキャピタルに参画したきっかけの一つに、ミダス財団の存在があると伺いました(https://talent.midascapital.jp/interview/interview-21/)。以前から社会貢献活動に興味を持っていたのでしょうか。

主に教育への関心を持っていました。子どもの成長において、幼少期であれば親、就学以降は学校での環境が大きく影響すると考えたからです。学生時代は個別指導の講師のアルバイトや、オンラインとオフラインを融合した「N高等学校」の東京校舎立ち上げ期のインターンとして、教育の現場に触れることができました。一方で、一個人ができることには限界があるとも感じました。このまま学生時代の延長で教育の問題にかかわっていくのではなく、いつか主体者として大きなインパクトを残せるようになりたい。そんな思いを抱き、就職をしました。

その後、セミナーへの参加をきっかけにミダスキャピタルの存在を知り、中長期的な投資での成長を実現していくミダス独自のスキームに強く惹かれました。入社の動機の一つには、ミダス財団に共感したというのもあります。2021年10月の入社以来、財団のコーポレート担当として関わっています。

――具体的に、どのような業務を担当されていますか。
 
財団の月次ミーティング管理やベトナムとのやりとり、契約書の締結などの諸手続きなどを担当しています。ミダス財団の広報的な活動やリーガルチェックなども私の担当です。

現時点では財団の活動は吉村さんご夫妻と私が行っており、ベトナムでの活動についてはハイブリッドテクノロジーズ代表取締役社長CEOのチャン・バン・ミン氏ご夫妻が中心となって取り組んでいます。今後は国内の活動にもより力を入れられるよう、財団の正職員も増やしていく予定です。
 

現地で知った「貧困地域の子が学校に通うまでの障壁」

――22年末には、ベトナムに建築した小学校にも視察に行かれたそうですね。現地の印象はいかがでしたか?
 
現地に足を運んだことで、「写真で理解できることはほんの一部に過ぎない」と痛感しました。学校建設エリアが貧困地帯であることは、もちろん理解していました。しかしながら、現地で見た光景は、想像をはるかに超えていました。家のドアと壁の間に隙間が空いていて、防寒、防風の意味をなしていない。未舗装の泥だらけの道にはあちこちに野犬がいました。当然、水道も整備されていません。ベトナム北部の冬は10度程度まで冷え込むのですが、政府から支給されていた薄いジャージのような服を着ている人がほとんどで、とても寒そうに見えました。それまで何度も話は聞いていましたが、実際にこの目で見ないと、どれほど過酷な環境かは理解できませんでした。

竣工当初は「今後は給食を出すべきか」「教材はタブレットにすべきだろうか」など、どちらかというとプラスアルファのような方向性で支援を考えていました。でも、まずは学校に通うための障壁を取り除くことが重要だと、現地を訪れて気づきました。雨が降った際に流されない橋や防寒具があるだけで、子どもたちは安心して学校に通うことができます。
 

Na Khoang Elementary Schoolを建設した、ベトナム北部Son La省にある村の景色。水道などのインフラも整っておらず、吹きさらしの家には冬になると隙間風が吹き込む


 

――何が重要かを見極めて継続的に支援するというのは、まさにミダス財団の特徴ですね。
 
建物を作るだけ作って満足していては、根本的な課題解決にはなりません。インフラの整備だけでなく、今後はそこに通う子どもたちの進学先、将来のキャリアパスについても関与していく必要性を感じます。

財団の特徴としては、ROI(Return On Investment、投資に対してどれだけ成果をあげられたか)を強く意識している点も挙げられます。ミダス財団はミダスキャピタルの年間収益の10%を財源にしていますが、それはつまり、投資先の全従業員が頑張った結果がそのまま財団の活動に反映されるということ。その方々に誇りを持ってもらえるためには何をしたらいいのか、吉村さんには明確に見えています。また、彼自身が毎年私財から1億円を寄付していることからも、財団に対する熱い思いを感じてもらえると思います。
 
――今後は日本で新たなプロジェクトの展開も検討されていると聞きました。
 
これまでも子ども食堂への金銭的な支援などを行なっていましたが、これから自分たちが主体的に取り組めるプロジェクトを立ち上げるための具体的な検討を始めたところです。まだ明言できる段階ではありませんが、社会へのインパクトの大きさや取り組みが本質的な課題解決につながるかどうかを見極めつつ、進めていきたいです。

第6回では、若い世代における社会貢献活動の捉え方、また、仕事と社会貢献活動を両立させる中で久山さんが感じたことについて伺います。

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